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虚を突かれたとは、正にこのことだろう。いつもの通り、奥の襖の方からいらっしゃると思っていたのに、まさか
お館様、会わぬ間に随分と額の痣が侵蝕して──。
そこまで考えてから、桜士郎はハッとして頭を下げる。
「お久しゅう御座います。お館様も御壮健で何よりです。益々の御多幸を微力ながら、切にお祈り申し上げます」
「ありがとう、桜士郎」
耀哉の微笑みと、その包み込むような優しい声色に、桜士郎は不思議な高揚感を覚える。
二年振りにも関わらず、その包容力には舌を巻く。流石は鬼殺隊を束ねる主と言ったところだろう。
「随分と顔を見なかったから心配したんだよ？」
「……申し訳ありません。私が貧弱なばかりにお館様に要らぬ心配を」
桜士郎の言葉に、耀哉は首を横に振った。
「私は謝って欲しい訳ではないよ。桜士郎は何でも抱え込んでしまう癖があるからね。二年前、私は何も出来なかったし、謝るなら私の方だよ」
「……いいえ、お館様。あれは自分の弱さ故、招いた結果です。二年前も私が貴方様に無理を言ったのですから気に病む必要など全くありません」
桜士郎がそう言い切ると、耀哉は少し黙り込み、考える素振りを見せてから「桜士郎、こっちにおいで」と手招きをした。
桜士郎は不思議に思って、疑問符を浮かべながら近くに寄ると、耀哉は唐突に彼の頭を撫でた。
桜士郎は目を大きく見開き、硬直する。
「…………お館様？」
「桜士郎、私はいつまでも待っているよ。だから、いつでも良いから困った時は、私を頼って欲しい」
耀哉は小さく笑みを見せながら、桜士郎の頭を撫で続ける。
桜士郎が黙って頷くと、満足そうにして、ニッコリと微笑んだ。
「あの、お館様、今日私を呼んだ理由を教えて頂いても宜しいですか？」
「ああ、そうだったね。実は桜士郎に頼みがあって今日は来て貰ったんだ」
「頼み……ですか？」
「ああ。……少し付き合って貰えるかな？」
耀哉の頼みに見当もつかないながらも、桜士郎はその真剣な眼差しから重大なことと察し、ゆっくりと頷いた。
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天霧(プロフ) - とても面白かったです。ハールメンで見させて貰います。 (2021年9月26日 1時) (
レス) @page17 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
しとは(プロフ) - いおりさん» 前作からと長々この作品をご閲覧頂きありがとうございます！部活の大会や模試などが立て込み、中々更新出来ずにすみません。ですが、これからも応援して頂けると嬉しいです。よろしくお願いします！ (2020年1月16日 7時) (レス) id: 076c798201 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - 前作から来ました。今作もすっごい面白い、、、。これからもお体に気をつけて更新頑張ってください。楽しみに待ってます。 (2020年1月13日 17時) (レス) id: 74a65ddbfb (このIDを非表示/違反報告)
しとは(プロフ) - そう言って貰えると、良かったぁってなります。ありがとうございます！了解です。前作は残していく方向で行きます！更新頑張ります！ (2020年1月5日 11時) (レス) id: 076c798201 (このIDを非表示/違反報告)
Sara．(プロフ) - 面白すぎて一目惚れしました。大好きです前作残して欲しいですす更新頑張って下さいぃぃ！ (2020年1月4日 23時) (レス) id: 37e203d48e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しとは | 作成日時：2019年12月12日 1時
