トリプルフェイスを義父にもつ私は、なぜか救済することになる

死んでしまった幼馴染 ページ13

〜降谷side〜


諸伏「ゼロ……」
降谷「わかっている…………わかっているんだ」


暗い部屋の中、ヒロが声をかけてくる。


わかってる。

ヒロだって辛いことぐらい。


わかっていた。

この仕事は、命の危険が高いことぐらい。

バレれば、俺だけじゃない。

敦もヒロも命の危険に晒される。


わかっていた。


だが、まさか上層部があいつを…………敦を売るなんて。


誰が思うんだ。



敦は、胸を打ちぬかれていた。

やったのは、ライだ。

敦が持っていた端末が撃ち抜かれたことで、俺とヒロは助かった。


…………助かってしまったんだ。


誰かはわからないが警察のパソコンがハッキングされ、上層部の悪事が明るみになった。

本来ならその犯人も見つけるべきだが、俺はそれよりもあいつを売った奴らが許せなかった。



ライが憎かった。

敦とライを除いたウィスキーカルテット＿＿俺とヒロは、組織から疑われている。

なんとか、これから挽回しなければいけない。

すべては、この組織を潰すために。



＿＿そしてAとの約束を守って、あの子がいる家に帰るために。




A『父さん』




A、父さんは絶対に生きて帰るからな。


こんな血にまみれた俺の手で、あの子に触って良いのかもわからない。

でも、たとえ血で汚れたって良い。

あの子のいる日本が、それで安全で平和になれるのなら。


それが、ゼロであり父親でもある俺の唯一できることだ。


そして組織を＿＿敦を殺した憎きライをこの手で捕まえる。



敦の無念を絶対に晴らす。

あいつらを、絶対に刑務所にぶち込んでやる。






…………ごめんな、A。

父親らしいことが何もできない父さんで。

大切な妻や仲間を守ることもできなかった不甲斐ない父さんで。

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