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黒色のチューリップを貴方に(6) ページ26

〜ユキside〜


キンッ、ガキンッ!


茨木と何度か刃を交わらせ、距離を取る。

その繰り返しだけど、やはり男女の差だろうか。

刀を持つ腕が疲れてくる。


…………長期戦に持ち込められれば、こちらが不利になりそうだな。



ユキ「…………やりますね」
茨木「癖も動きも同じ。なのに、記憶無しかよ。まぁ、いいか」


刀と刀が交じり合った瞬間も、私は茨木に対して声をかける。

少なくとも完全に動きがよまれている今の状況下では、彼に勝つ可能性はかなり低い。


会話をしながらも、距離を保つ。


何しろ、彼の行動がいまいち理解できない。

私が前世の私であることに気づいている割に、攻撃には容赦がない。


何を考えている?


恋仲という特別な関係だったはずなのに、今では彼の思考が全く読めなかった。


そして、そんな私には隙ができていた。


ユキ「グッ!?」


ヤバい。

そう思った瞬間、斬りつけられバランスを崩してしまった。

ドシャッという音とともに、衝撃と痛みが背中を襲う。


茨木「やぁっと見つけたんだ…………逃がしゃしねぇよ」


痛みにうめいていれば、腹に重みを感じる。

顔をあげれば、仄暗い瞳でこちらを見る茨木が私の腹にまたがっていた。

…………似たような状況に前世でも陥ったことはあるけど、今は甘い雰囲気よりも命の危険しか感じない。


そう思うと同時に、遠くで武器と武器がぶつかる音と共に怒号が聞こえてくる。

この声からして、イタクだろう。

彼も、仲間も、戦っている。

少なくとも、このまま大人しくしているわけにはいかない。



…………恋仲という関係は、もう前世では終わってしまった関係なんだ。

今の私は、奴良ユキ。

奴良リクオの片割れにして、彼らの仲間でもあるんだ。


それを認めることは、茨木と決別することと同時に彼と敵対すること。


…………それでも、いいだろう。


前世越しに昇華した恋など、物語の中だけの物。

現実には、ぜっていにありえないのだから。


奴良組と京妖怪。


どちらにしても、相容れぬ関係。


ならば__





ユキ「…………うう……ああああああ!!」




叫び、体に力をこめる。

己の畏れを使って、前世の鬼としての力を使う。

そして、茨木を葬り去る。



それこそが前世とのケジメであり、最後の彼への愛だ。

前世の私という鬼ごと、殺させてください(忘れさせてください)

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マリコ - あのすみませんもう10月になりましたのでリクエスト消化とセーラームーンリクエストを楽しみにしています。 (2021年10月4日 1時) (レス) id: bb49c1c365 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - マリコさん» 了解しました。 (2021年8月19日 14時) (レス) id: 49cde1a4d1 (このIDを非表示/違反報告)
マリコ - リクエスト消化を楽しみにしています。 (2021年8月19日 0時) (レス) id: ebba95fe77 (このIDを非表示/違反報告)
マリコ - 赤坂さんとヒロインがデートしてる最中にキメラアニマとヤラネーダも現れたらいちごちゃんとみんとちゃんとれたすちゃんと歩鈴ちゃんとざくろさんとまなつちゃんとさんごちゃんとみのりちゃんとあすかさんとローラーちゃんもヒロインの前で正体を明かしてあげてください (2021年8月10日 1時) (レス) id: 20944b82be (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - マリコさん» 了解しました (2021年8月8日 10時) (レス) id: 49cde1a4d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小説ワンコ | 作成日時:2021年7月11日 20時

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