黒色のチューリップを貴方に(3) ページ23
〜ユキside〜
目を開ければ、木目の天井が目の前に広がっていた。
…………懐かしいな。
懐かしい前世の夢を見ていたようだった。
あんなふうにいつも一緒にいた大切な存在。
今では、敵対してとても遠い存在になってしまったけれど。
そう思っていると、ギュッと誰かに抱きしめられるような感覚と温もりを感じる。
ユキ「…………ん?」
リクオ「スース―」
横を見れば、そこには一人の青年が私に抱き着く形で眠っていた。
流れるような白黒の長髪に、閉じられた瞳。
ユキ「……………………またですか」
端正な顔立ちを持つ彼は、私の今世の片割れだ。
『奴良リクオ』ぬらりひょんの孫にして、ぬらりひょん率いる奴良組の後継ぎ。
そして私とは違い、完全に妖怪として過ごす片割れだ。
ユキ「リクオ」
私に抱き着く片割れを揺する。
さすがに、このまま抱きしめられるわけにはいかない。
何故かこの片割れは、幼い頃も、妖怪としての能力が完全に覚醒した時も、後を継ぐと正式に告げた時も、私の隣に進んで立とうとする。
私の手を引いて、私を導こうとする。
私自身、奴良組のことについては特に思うことはない。
茨木とは敵対してしまったけれど、だからといってこの片割れや今世の家族たちを裏切るつもりもない。
…………ズルい女だ。
そう、つくづく思ってしまう。
実際に、私は知っているから。
茨木が、私がん転生していることに気づいていることを。
そして、私を探していることを。
片割れ__リクオが、私の前世の記憶という存在について何となく感づいていることを。
それでも完全にどちら側につかない私。
私が奴良組側につけば、京妖怪の弱点ぐらいは簡単に言えるだろう。
私が京妖怪側につけば、間諜としてこちら側の情報をあちらに渡すこともできるだろう。
それをしないあたり、結局は私は怖いのだ。
かつて、恋仲だった男と完全に敵対することを。
この片割れと完全に敵対することを。
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マリコ - あのすみませんもう10月になりましたのでリクエスト消化とセーラームーンリクエストを楽しみにしています。 (2021年10月4日 1時) (レス) id: bb49c1c365 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - マリコさん» 了解しました。 (2021年8月19日 14時) (レス) id: 49cde1a4d1 (このIDを非表示/違反報告)
マリコ - リクエスト消化を楽しみにしています。 (2021年8月19日 0時) (レス) id: ebba95fe77 (このIDを非表示/違反報告)
マリコ - 赤坂さんとヒロインがデートしてる最中にキメラアニマとヤラネーダも現れたらいちごちゃんとみんとちゃんとれたすちゃんと歩鈴ちゃんとざくろさんとまなつちゃんとさんごちゃんとみのりちゃんとあすかさんとローラーちゃんもヒロインの前で正体を明かしてあげてください (2021年8月10日 1時) (レス) id: 20944b82be (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - マリコさん» 了解しました (2021年8月8日 10時) (レス) id: 49cde1a4d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小説ワンコ | 作成日時:2021年7月11日 20時