たえまなく過去へ押し戻されながら 二 ページ14
(続)
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「敵が直ぐ近くに居るんだ・・・!谷崎さん、危険です!」
『谷崎さん、待って下さい!』
優花や敦が何とか人混みを掻き分けて、谷崎に呼びかける。
だが彼には届いていないらしく、止まる気配は無い。
「何処だ!くそッ、ナオミを返せ!」
「谷崎さん!」
『ッ・・・駄目だ・・・』
______そんなに慌てたら、見つかるものも見つからない。
優花は頭の中で、無意識に今の谷崎と昔の自分を重ね、思い出していた。
どれだけ探しても捜しても、見つからない届かない。
何で、どうして。
そんなあの時の焦燥と______絶望を。
『っ・・・あ〜、違う!』
過去は過去、今は今。
あの一件は、もう終わったのだ。
彼女は自身にそう云い聞かせる様に、頰を両手で叩いた。
「優花ちゃん、大丈夫・・・?」
隣で同じく谷崎を追いかけていた敦は、それを見て声をかける。
それに『大丈夫』と優花は笑い、前を走る谷崎に目をやった。
『谷崎さん!一旦落ち着いて______ゲッ』
普段の顔からは想像できない、鬼の形相で妹を捜す谷崎を先頭に、敦と優花は走り続ける。
だがその時、優花はある者が見えた瞬間、嫌そうな顔をした。
それは・・・白衣を着た男。
男は何かを探しているのか、アタッシュケースを持って右往左往している。
「退けッ!」
そこへ谷崎が彼を突き飛ばした。
それを見た優花は、『あ''っ』と声が出そうになるのを抑え、敦と共に駆けつける。
「痛たた・・・」
「大丈夫ですか」
『怪我は・・・良かった。無さそうですね』
それと同時に、谷崎が立ち止まる。
視線の先には、赤毛を御下げにした少女。
昨日来た、組合の一員だった。
「見付けたッ!」
再び走り出した谷崎は、彼女に手を伸ばす。
あと少しで、背後に手が届く______一歩前だった。
「遊びましょ☆」
無邪気さと、どこか不気味さのある笑みで、彼女は振り向く。
その瞬間、景色が_______一変した。
道のど真ん中に居た筈なのに、辺りには人形や風船、その他可愛らしいもので溢れている。
谷崎と敦と優花含め、巻き込まれた一般人全員が、その光景に目を見張った。
「ようこそ、アンの部屋へ」
その中で、この騒ぎの張本人が姿を現した。
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ただの本好き(プロフ) - 番外編を作りました。宜しければリクエストご応募下さい! (2019年2月18日 16時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
Toua(プロフ) - 私は太宰さん!あと、ドストエフスキーさんとか、中也も大好き!賢い所とか強い所に惚れちゃったです(////∧////) (2018年12月5日 0時) (レス) id: 704eb57210 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本好き(プロフ) - Touaさん» お返事遅くなって申し訳ございません・・・!そうですね、文ストのキャラは皆魅力的なのでとても迷いますが・・・選ぶなら新旧双黒ですね。あの四人のやり取りが面白くて好きです。Touaさんは? (2018年12月4日 19時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
Toua(プロフ) - ただの本好きさん» 確かに、双黒の戦闘シーンとかは最高ですね!ただの本好きさんの推しは誰ですか? (2018年12月3日 21時) (レス) id: 704eb57210 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本好き(プロフ) - Touaさん» 私は全部好きです。アニメでは確かに漫画や小説ではある所が省略されてしまうけど、声があるし戦闘シーンでは絵や文章では味わえない迫力がありますから! (2018年12月3日 20時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ただの本好き | 作成日時:2018年11月4日 14時