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「…っ、Aちゃん！」
もうすぐで家に着くという所で
前から誰かが走ってきて
名前を呼ばれたかと思えば
息を切らした北斗さんが私を強く抱きしめた。
「あの、」
「勝手に行かないでよ…っ」
「すいません、ちょっと散歩に…」
「それぐらいいくらでもついていくから
お願いだから急にいなくならないで。」
私を抱きしめる北斗さんの体はかすかに震えていて
確かに何も言わずに家を出たのはよくなかったと思うけれど
書置きもしていたのにここまで心配するかと首を傾げた。
でもそんなことよりも
抱きしめられたことによって直に感じる彼の体温に
徐々に顔が熱くなっていき心拍数が上がっていった。
「と、とにかく一旦離してもらっても…」
「っ、ごめん！」
「こちらこそ、すいません…」
気まずい空気が流れて
とにかく熱を帯びた顔をどうにか冷まそうと手で仰ぐ。
北斗さんも段々と冷静になったのか耳を赤くして
目を泳がせながら少し荒めに頭を掻いた。
「…帰ろうか。」
「はい…って、そうだ！」
こんなところでお互い照れている場合ではない。
北斗さんの手を掴み、急ぎ足で家へと帰ると
リビングの高そうなソファーに座らせた。
「ちょっとそのまま待っててください！」
部屋にインスタントカメラを取りに行き
再びリビングに戻ると
状況についていけてない北斗さんにレンズを向けて
ゆっくりとシャッターをきった。
「写真がないならまた撮れば…」
正直成功する確率はかなり低い、
それでも、少しでも可能性があるのなら
そんな願いを胸に出力されたチェキを見つめると
20秒ほどで徐々に画像が浮かび上がってきた。
「へえ…今はそんなカメラがあるのか。」
「ああ…そうみたいですね。」
未来が変わっちゃうなんて言っている暇はない。
完全に浮き上がってきた画像には
目を丸くした北斗さんがちゃんと写っていて
それを握り締めて強く目を閉じた。
「やっぱり無理か…」
目を開けてみても、景色は変わっていなくて
溜息交じりにそう呟くと
テレビから軽快な音楽が流れ始めた。
“日本万国博覧会は3月15日から！”
「もしかして…」
あの写真には万博の文字が大きく写っていた。
もしかしたら、万博をバックに北斗さんの写真を撮れば
元の世界に戻れるかもしれない。
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あかね(プロフ) - とっても面白かったです！良かったら解説お願いします！ (2022年1月31日 1時) (
レス) id: 608a572f89 (このIDを非表示/違反報告)
ぽめじろう(プロフ) - coccoさん» ありがとうございました！そうなんです、名前を変えて暫くはこちらでお世話になることになりました！また読んでいただけて嬉しいです！ (2021年12月27日 8時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぽめじろう(プロフ) - hohoさん» 読んでいただきありがとうございました。暫くはこちらのアカウントで書きますのでよろしくお願いいたしますm(_ _)m (2021年12月27日 8時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぽめじろう(プロフ) - ハルさん» 初めまして！読んでいただきありがとうございました。楽しんでいただけて嬉しいです！ (2021年12月27日 8時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
cocco(プロフ) - 読み進めていくうちにどんどん引き込まれていく感じがぱぐたろう様に似てるな〜と思っていたらまさかのご本人様でした… ; ; ぱぐたろう様ロスだったので今作に出会えて嬉しいです。おかえりなさい！であってるかわかりませんが言わせてください！おかえりなさい！！！ (2021年12月25日 2時) (レス) @page42 id: 4774ec4c1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽめじろう | 作成日時：2021年12月21日 21時
