〈文スト 〉口付けは蜜よりも甘く

クイズは好きかい？8(ゴーゴリ) ページ32

ゴーゴリは、当時の事を思い出したのか、やや興奮気味に、私について熱く語り始めた。
私と初めて交わした言葉、初めてキスを交わした日_______
それら全てを鮮明に、時に感情豊かに語ってくれたゴーゴリは、とても幸せそうに見えた。
「嗚呼、本当にAちゃんと出逢えて幸せだよ、幸せ者だ僕は！」
とうとう昂ぶる感情を抑えきれなくなったのか、ゴーゴリは私を思いきり抱き締める。
「大袈裟だなァ、ゴーゴリは」
わざとやっているのか、本気でやっているのか分からない、ゴーゴリのリアクションに、ついつい、笑みが勝手に溢れ落ちてしまう。
人をここまで笑わせられるなんて、流石道化師だ。
その時、私はふと思った。
自分にこれ程まで、幸福感を与えてくれる存在は、後にも先にも、ゴーゴリしか居ないのではないか。
そう考えると、とてもゴーゴリが愛しく思えた。
「ねェ、ゴーゴリ。一寸こっち向いて？」
この時、何故自分でもこんな事を言ったのかは分からない。
けれどゴーゴリは、一旦抱擁を止め、不思議そうな顔をしながらも、言われた通りに私の顔を見つめた。
その瞬間、私の身体は勝手に動き、ゴーゴリの唇にキスをしていた。

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