【銀魂】空から女の子が降ってきました。20

第八百四訓 ページ38

だが、読む勇気なんてない。


読んでしまえば彼が死んだ事を認めなければいけない気がして。でもこれを認めなければ前に進めないのも事実で。






『っ、』






怖い、怖い、怖い。どうしよう、恨みの念が書かれていたらどうすればいい？将ちゃんはそんな事書く人じゃないって頭では分かってても、

恐怖が、止まんなくて。ぶるぶると腕が震える。









「A」









『っあ、』






＿＿どこからともなく、彼の声が聞こえた気がした。






『将ちゃ、』






「もしまた江戸へと無事に帰ってこれたら、その時は江戸の町を案内してくれ」



「京へと着いたら、絶対に手紙をそなたへと送ろう。約束だ……だから、」









「待っていて、くれぬか」










『っ、』






＿＿＿＿＿＿嗚呼、約束さ。

帰れなくなってしまった君だけど、その手紙は私へと遺してくれた。彼が全て消えた訳じゃない。遺してくれたものだってある。






『はは、将ちゃんの事だから……天然な発言ばっかしてたりして』








私は将ちゃんの手紙を、手に取った。









＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿






＿＿＿＿＿＿






＿＿＿








手紙からは、ひしひしと将ちゃんらしさが伝わってきた。







そちらではしっかりご飯を食べているのか、とか。
しっかり眠れているのか、だとか。
何か不自由などはしていないか、だとか。



自分の事は全然書いてなくて、私の事ばっか。私を、私達を心配する様なことばっか。



彼らしいと言えば、彼らしいけれど。






『っ、ああ、もう、』






手紙を読む内に何度も泣いた。涙が溢れて溢れて止まらなくて、でも何故か心は軽くなっていっている気がして。


手紙はまだまだ続いてて、半分くらいしか読んでない。


なのに涙は止まらなくて、こんなに私を泣かせてくれたのは後にも先にも彼しかいなくて。










そしてその事実に、また泣いた。










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