第七百九十二訓 ページ26
息が、荒くなる。
先程まで倒れていたはずの高杉と、ボロボロで立っているのもやっとだったはずの銀時君。
そんな二人が私の隣に剣を構えて立っていた。
『な、んで、』
立つのもやっとだった癖に。私が守るって言ってやったのに。高杉なんてさっきまで親に置いてかれた子供みたいな泣きそうな面してたのにさ。
…………なんで君たちは、さあ。
『……なんで、護らせてくれないかな』
苦しそうに微笑んでいれば、気付いたら兄弟子二人はまるで私を守るようにこちらに背中を見せて立っていた。
銀時「うるせ……なァにが護るだ。
高杉「そもそも俺ァ、護らせてくれってのに了承したつもりはねェ。何勝手に守ってくたばろうとしてんだ」
その二つの背中は今にも倒れそうで血だらけで、弱々しい筈なのに何故かとても逞しく見えた。
『…ったく、頼りない背中護ってやろうとしたのにさ。でもそんなボロボロで大丈夫?倒れそうじゃん。昼寝はまだ速いと思うんだけど』
銀時「あ?お前こそ頭から出てるその血目の中入ったんじゃね?視力落ちてんぞ」
高杉「そもそも俺ァ、昼寝なんつー悠長なマネは趣味じゃねェよ。それに睡眠不足よりはマシだろーが」
…………ははは。
『確かにー。そしたらそんな奴が率いる軍勢なんて全く怖くないね。大した事ない四面楚歌だ、余裕で生き残れるかな』
奈落の部隊を鼻で笑う二人に釣られて、つい私も煽る様に笑った。朧はどくどくと血が溢れる潰れた左目を抑えながら睨む様にこちらを見つめているが……
朧「……生き残る?」
あーあー、怖いねえ。隈が酷いせいか人相まで悪い。眼光も鋭いし……。
…………まあ恐れなんてしないけれど。
朧「貴様らは全員、ここで果てる運命だ!!」
______そうして飛びかかってきた奈落達に、改めて仰々しい殺気を向けた時。
ふっ、と。ほんの一瞬だけ。
………………頭上に影が、さした。
.
______ドンッ、!!!!
『……っえ、』
と思えば、飛びかかってきていた奈落達が何者かによって蹴り飛ばされ……地面に倒れ込んだ。
上…つまり崖上から飛び込んできたその影は、二つ。
ー
1710人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RENKA - 初コメ失礼します、感動しました号泣です涙止まんないです!!心がキュンキュンしました!!もうキュンキュン通り越してギュンってなりましたよ!← これはホント何回みても飽きないですマジで!!最高っす!!!ってことでちょっともう1回読んできますね(( (2022年7月5日 11時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 涙止まんなすぎてバスタオルで拭きました最高ですめっちゃ感動しました!!!!! (2022年7月4日 21時) (レス) @page41 id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - イルさん» 将軍暗殺篇はこれにて閉幕です、NEXTとしてはさらば真選組編ですね!!ハンカチのご用意を……w結構心理描写が精神的に来るものがあると思われますです……更新頑張ります!将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 雑草のかきあげ(仮垢)さん» 最初からw!?!かなり長いですよ!?w大丈夫ですかほんと無理しないでねw!?!更新頑張りますw将軍暗殺篇ありがとうございました!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - つなかんさん» いやこちらこそぎゅんぎゅんして頂いた様で(?)良かったです、更新ノロマですが宜しくお願いしますw!! (2022年7月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:実珠 | 作成日時:2022年5月3日 15時