【銀魂】空から女の子が降ってきました。20

第七百八十三訓 ページ17

不意に天導衆のそいつが、ぴらりと一つの紙を取り出した。封筒状になったそれは見覚えがあって。






「覚えているか？貴殿が将軍職を辞そうと提出した解官証書」






定々の一件の時に彼を鎮める為に将ちゃんが出した、解官証書だ。あの時から天導衆は一橋を敵と、将ちゃんを暫定政権と見た。


それを今になって出してきた理由なんて決まってる。






(将ちゃんを早いところ将軍から降ろして…自分たちが扱いやすい操り人形を祀りあげる為)






「あの時はその跡を継ぐに相応しい者なく保留となっていたが…此度国の執政を取るに相応しき人物を得、天使の許しが下りた」






そして一橋公に恩があるという先程の発言。天導衆の新しい操り人形というのは＿＿＿＿＿＿










「彼が次代征夷大将軍」






「一橋喜々改め、徳川喜々公だ」










一橋家当主＿＿＿＿＿＿一橋、喜々。









『っ……！』









ガラ、と。



新しく天導衆の手によって、操り人形となった彼は全身包帯ぐるぐる巻きの状態で車椅子によって運ばれてきた。



唯一見える片目は爛々と憎しみに燃えている。
その憎しみは将ちゃんに向けたのか、それとも自身を包帯だらけにした相手に向けたのか。






(そもそもなんだあの怪我…将ちゃんの暗殺を急いた時点で計画性のない愚かな男だと思っていたが莫迦過ぎて高杉達に灸を据えられたのか？)






なら一橋公を包帯だらけにしたのは…高杉達一橋派か。






新八「な、何故彼が！？一橋派によって幕府を乗っ取る為に担がれていた一橋公が何故天導衆と共に一橋派を！？」



『……あの男が莫迦過ぎたってことだろ』



新八「えっ、」






淡々と呟いた言葉だったが、意外と声が大きかったらしく一橋公がぴくりと肩を跳ねさせた。


その憎しみに満ちた目がこちらに向けられる。だが私は全く怖くなかった。ただ呆れたのだ。こんな安い挑発に乗るこいつの愚かさに。






(嗚呼、確かに。これ程莫迦な男なら天導衆も操りやすいだろう。邪魔と思っていた一橋派のトップの頭が弱くて随分と楽だろうな)






『あの男はどこからどう見ても莫迦だ。情勢も把握出来ず私情のまま動く。そんな奴は一橋派…高杉達の神輿すら務まらないだろう』



新八「じゃ、じゃあ」



『うん。彼らに灸を据えられて、それが更に頭に来てたんだろうね。天導衆の甘い誘いに易々と乗ったって訳だ』










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