１０５話 ページ8
｢ヴァリアーにいたのか？｣
私までベッドに座ると話しにくいため、椅子をリボーンくんの前に運んで向かい合う形で話を始めた。
｢未来の私、単身でイタリアに乗り込んで返り討ちにあって、そこをヴァリアーに保護されたんだって｣
我ながらあまりにも無鉄砲すぎる行動にフォローもできず、聞かされたことをありのまま伝えた。
｢何の――｣
｢ツナくんたちは、入江正一を倒しに行ったの？｣
何のために。
そう訊こうとしたであろうリボーンくんの発言を遮って今度は私の番だと無理矢理に質問をねじ込んだ。
眉をぴくりと動かして不満を滲ませながらもリボーンくんは答えた。
｢……そうだぞ。奇襲を受けちまって仕方なくな｣
｢そう……私のも、その人関係で……｣
｢入江正一は日本にいるのに、イタリアに行ったのか？｣
｢……誰にも、言わないで欲しいんだけど｣
隠しておくつもりだったが幼い双眸に見つめられ話すしかないと思わせられた。
リボーンくんは少しの間の後、首を縦に振った。
そんな彼に私は紙の束を渡す。
人工降雪計画についての資料だ。
｢この計画を止めるために未来の私はイタリアに飛んだらしいの。ツナくんたち、別のことで忙しそうにしていたとかで誰にも言えなかったらしくて｣
｢結局、ダメだったんだけどね｣と力なく笑う。
｢皆を過去に戻すためにツナくんたち頑張ってくれてるんだよね？ 入江正一を倒せれば計画も流れるだろうし、目的は妥当入江正一で同じ。……余計なことで困らせたくないの｣
｢未来のあいつらはお前を心配してたぞ｣
読み終えたリボーンくんは紙を私に返すと真剣な顔でそう言った。
｢『何か悩んでるみたいだった』『聞いてあげればよかった』って反省するみたいにな｣
膝の上で握りこぶしを作る。
皆は悪くない。
こんなことを計画した入江正一が、勝手に行動した私が悪いのに。
それなのに皆が悪く思うなんておかしな話だ。
ああ、だからビアンキさんはあんなにも……。
重くなった空気に耐えられず、スクアーロさんに渡された大空のリングと匣を見せて話を逸らした。
｢これと、基本的な戦闘スタイルはスクアーロさんに教えてもらったよ｣
話を逸らされたことに嘆息しながらもリボーンくんは｢そうか｣と一言だけ返した。
｢俺は約束は守るからな。誰にも言わねえ｣
ぴょこんとベッドから降りるとひとり部屋を出ていくリボーンくん。
その背中は、それでいいんだなと言いたげだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 249人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小学7年生(プロフ) - モナ子さん» ありがとうございます！楽しんでいただけたようで何よりです(^-^) 頑張ります、ありがとうございます！！ (2020年9月24日 19時) (
レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
モナ子 - 面白すぎて一気に読んじゃいました！番外編最高すぎます…( ・∇・) こういうのって大体キャラ崩壊してるのに作者様のキャラはキャラのままで尊敬します！これからも頑張ってください！ (2020年9月23日 21時) (レス) id: 2a3f107de3 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - めろさん» めろ様、コメントありがとうございます。大変お待たせしましたがこの度連載再開させていただきます。もしよろしければ暇つぶし程度にお使いください。作者の体調まで気にしてくださり感謝致します。めろ様も十分お気をつけくださいませ。 (2020年8月22日 20時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
めろ - 久しぶりにずっと楽しんで読めれる作品に出会ったので更新停止とても悲しいです（ ; _ ; ）書き直しの更新楽しみにまってます、世界情勢も大変な状況なのでお体にお気をつけてくださいね。 (2020年8月10日 14時) (レス) id: afb9e59317 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - トツキさん» トツキ様、コメントありがとうございます。そんなことを言っていただけてとても光栄です。できるだけ早めに更新出来るよう書き直しを進めさせていただきますので、お待ちいただけると嬉しいです。 (2020年5月26日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小学7年生 | 作成日時：2020年5月2日 20時
