９９話 ページ2
｢まあ、この時代のお前の武器はそれじゃなかったからな｣
｢えっ｣
せっかく雪の守護者なのに？
自分でいうのもなんだが、割とすごい立場なのではないのか。
それなのにその能力を使わないでいただなんて。
驕り高ぶるのは気が引けて、驚きの声を上げただけの私。
｢そんなもん、どうやって扱うんだぁ。空気が吸えなくなるだけじゃねぇ。雪の炎が灯っている間、お前の体温は急激に下がっていく。この時代でのお前が使っていたのは大空の炎だ｣
｢大空？｣
｢お前は雪の炎のほかに、大空の炎も扱えたんだぁ。だから、戦闘においては雪の炎なんて使っちゃいねぇ｣
握りこぶしを出され、私は手のひらを上に向けて差し出す。
広げた両手に乗せられたのはオレンジ色の石が嵌め込まれた指輪だった。
｢さっきと同じ要領で、もう一度炎を灯してみろ｣
雲のリングを一旦鞄の中にしまい、渡された指輪を代わりにつける。
ツナくんの額の炎に似た、柔らかく、暖かみのある炎が燃える。
石のところで揺れる炎は少しも熱くなかった。
｢上出来だ｣
褒めてもらえたことに誇らしげに笑うとスクアーロさんも少し口角を上げた。
｢これが、お前の使っていた
ポケットをあさって取り出されたこれまたオレンジ色の立方体。
それを受け取って言われたとおり指輪についた石をはめる。
かちゃりと音を立てた次の瞬間、面のひとつがぱかりと開いた。
手のひらサイズの箱から出てきたのは、つい最近見たものだった。
｢拳銃、ですか？｣
｢まあ、多少特別なモンだがなぁ｣
特別とは言われたが、その違いは目で見ただけでは分からなかった。
｢お前はうちのボスさんはもちろん、沢田とですら比べもんになんねーくらい弱ぇ｣
｢急ですね｣
どうして突然、そんなわかりきっていることを言うのだろうか。
｢オレが言ってんのは力の話じゃねぇ。そのリングについてだぁ｣
スクアーロさんのグレーの瞳がオレンジの石に向いたのを見て、私もそれを見た。
｢炎の強さは出力より純度によるが、お前はそのどっちもクソ弱ぇ。つまり、戦闘向きじゃねーんだぁ｣
スクアーロさんの眉間にはしわが寄せられていた。
怒っているのか、苦しんでいるのか……よくわからない表情だ。
｢そんなこと百も承知のこの時代のお前はわざわざ敵地に乗り込んだ。……切羽詰まってたってのもわかるが、あんま思い詰めるんじゃねぇぞぉ｣
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小学7年生(プロフ) - モナ子さん» ありがとうございます！楽しんでいただけたようで何よりです(^-^) 頑張ります、ありがとうございます！！ (2020年9月24日 19時) (
レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
モナ子 - 面白すぎて一気に読んじゃいました！番外編最高すぎます…( ・∇・) こういうのって大体キャラ崩壊してるのに作者様のキャラはキャラのままで尊敬します！これからも頑張ってください！ (2020年9月23日 21時) (レス) id: 2a3f107de3 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - めろさん» めろ様、コメントありがとうございます。大変お待たせしましたがこの度連載再開させていただきます。もしよろしければ暇つぶし程度にお使いください。作者の体調まで気にしてくださり感謝致します。めろ様も十分お気をつけくださいませ。 (2020年8月22日 20時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
めろ - 久しぶりにずっと楽しんで読めれる作品に出会ったので更新停止とても悲しいです（ ; _ ; ）書き直しの更新楽しみにまってます、世界情勢も大変な状況なのでお体にお気をつけてくださいね。 (2020年8月10日 14時) (レス) id: afb9e59317 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - トツキさん» トツキ様、コメントありがとうございます。そんなことを言っていただけてとても光栄です。できるだけ早めに更新出来るよう書き直しを進めさせていただきますので、お待ちいただけると嬉しいです。 (2020年5月26日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小学7年生 | 作成日時：2020年5月2日 20時
