７１話 ページ23
何発ものミサイルが打たれる音がする。
砲台の心配は残るが、元来た道を戻れば地雷を踏む事はない。
モスカの注意が一点に集中している今が戻るチャンスだ。
だが……。
｢歩ける……？｣
問いかけに頷けない。
動けないことを察したのだろうクロームちゃんが私の右腕を自身の首に回した。
｢……！ 冷たい｣
驚いた様子で右手を包まれるが、それが暖かいのか否か、そもそも触れられている感覚がない。
引きずられながら有刺鉄線に体を当てないようにフィールド外で倒れた時、誰かの声が響いた。
｢中から人が……！｣
みんなの視線はモスカに向いている今、どこから人が出てきたかなんて見なくとも分かる。
モスカは人ひとりが中に入っていても問題ないくらいのサイズだった。
手のひらに当たる凹凸。
症状が良くなってきたのか、砂の粒の感触が伝わってきた。
｢９代目！？ ど、どうなってんだ……？｣
朦朧としていた意識に大きな声が響いて覚醒する。
ツナくんの震えた声。
見るとおじいさんが地面に転がって目を閉じていた。
｢ちっ、モスカの構造……前に一度だけ見たことがある。９代目はゴーラ・モスカの動力源にされてたみてーだな｣
｢ど……どーして！？｣
｢どーしてじゃねーだろ！ てめーが９代目を手にかけたんだぞ｣
恫喝するような重低音。
｢お……オレが……？｣
どう考えてもツナくんのせいではない。
誰もがそう思っているのに、彼だけが正常な判断をできなくなっているようだった。
｢お……オレが……９代目を……｣
過呼吸を起こして目の前のそれを受け入れようとするツナくん。
｢……！ まだ生きて……｣
ゆっくりと、でも確実におじいさんの目が開かれたのが見えた私は、彼がまだ生きているのだと分かった。
口も微かに動いているけものの、なんと言っているのかここまでは聞こえない。
少しして口元が赤く染まる。
血を吐くほど苦しんでいるのに、それを意にも介さずおじいさんは震える指をツナくんの額に持っていく。
｢待って……！ そんな、待ってください！ ９代目！ ９代目ー！！｣
｢よくも９代目を！｣
悲しみに打ちひしがれるツナくんをXANXUSさんは許さなかった。
｢９代目へのこの卑劣な仕打ちは実子であるXANXUSへの、そして崇高なるボンゴレの精神に対する挑戦と受け取った！ ボス殺しの前にはリング争奪戦など無意味。俺はボスである我が父のためそしてボンゴレの未来のために……貴様を殺し、仇を討つ！｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 191人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小学7年生(プロフ) - ケダマさん» なるほど！ 時間とアイデアがわき次第ですが作ってみたいです！ わざわざありがとうございます^^ (2020年5月3日 9時) (
レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
ケダマ - 小学7年生さん» そうなですね！ アドバイスというか、私の願望()なんですけど、非日常(獄寺がちっちゃくなるみたいな)を短編にして、続編は学校行事を中心にしてみてはいかがでしょう？ (2020年5月3日 0時) (レス) id: 646688083a (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - りんこ@ゴリラじゃないさん» 下のケダマ様に対する返信と同様でございます。わざわざコメントしていただいたのにすぐにお応えできず申し訳ございません。 (2020年5月2日 19時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - ケダマさん» コメントありがとうございます。楽しそうですね！ 未来編に入ってからは戦闘しか続かないので作ってみたいとは思っています。ですが本編完結後にそういった話を作るか悩んでおりまして……。そういう訳でもう少しだけ考えさせてくださいm(_ _)m (2020年5月2日 19時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
りんこ@ゴリラじゃない - 便乗コメント失礼します！私も短編とかあると嬉しいです！日常編的な… (2020年4月30日 19時) (レス) id: a123e2cd2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小学7年生 | 作成日時：2020年4月19日 17時
