４７話 ページ49
今回のフィールドは校舎Ｂ棟。
笹川先輩を待ってから行こうと待ってると彼は包帯の塊と一緒に登場した。
｢ファラオーッ！｣
｢どっちかって言うとミイラじゃない？｣
形状で言うならファラオで合ってるのかもしれないが、包帯を全身にまいてる時点でミイラ一択だ。
包帯が一部緩められると、中から顔を出したのは獄寺くんだった。
ぱちりと視線が交わり反射的に、また、目を逸らした。
逸らした先に、山本くんの顔。
いつものように笑っている。
言葉にしなくても、彼が何を言いたいかは分かった。
道場で宣言した手前、引くに引けない。
そもそも逃げ出すことを山本くんはよしとしないだろう。
なんと言うのが最適なのか。
言葉に詰まって、変な沈黙が流れる。
空気を読んでか読まずか、誰も何も話さないのが苦しい。
「……もう絶対あんなことしないでね」
笑顔で昨日のことはお互い水に流そうとおちゃらけられたらよかったのにと後戻りできなくなってから後悔した。
「……ああ」
分かったのか分かってないのか微妙な返事だったが、彼が私の言葉に反応しただけでも成長が見られているのだろう。
無言を貫き通されなかっただけで御の字だ。
ちらりと山本くんの顔を伺うと満足そうに笑っている。
ツナくんの肩にのる赤ちゃんも左の口角を上げていた。
それが子供を見守る親みたいで、少しくすぐったくて自分の心を誤魔化すように背を向ける。
「相手！ もう行っちゃったの！ 早く行こ！」
「A、手と足が一緒に出てるよ……」
「はっ！」
ツナくんに指摘されてそれを直す。
歩くのってこんなに難しかったっけ。
突然歩行が下手になった私は、動きずらそうな獄寺くんの補助を担当することになってしまった。
「おもっ、ちょっと、わざとやってない！？」
包帯で動きずらいのはあるかもしれないけれどさすがにこれは嫌がらせなんじゃないだろうか。
というか明らかに包帯巻きすぎだし少し解いてもいいのではないか。
先ほどの返事はツナくんの手前、しぶしぶしたのだろう。
彼がいなくなった状態では答える義理もないというわけだ。
何も言わない獄寺くんにそんなひねくれた考えになる。
「届いてた。お前……小村の声も、山本の声も、芝生頭の声も、シャマルの声も……全部」
思わず足を止めて、横にある銀髪を見た。
「……ありがとな」
勘違いしてごめんと、心の中で謝った。
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小学7年生(プロフ) - 雛。さん» 雛。様、コメントありがとうございます！そのコメントが嬉しいです〜！！ちまちま更新しますので今後ともよろしくお願いします！ (2021年12月8日 18時) (
レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
雛。(プロフ) - 加筆嬉しいです。ありがとうございます (2021年12月8日 8時) (レス) @page11 id: 9ec0000aae (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 弥冬さん» ありがとうございます！ これからもニヤニヤしながら読んでいただけるよう頑張ります！！ (2020年4月14日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 霧菜☆紗理屋さん» そう言って頂けて本当に嬉しいです！ これからも読んでくださると嬉しいです！！ (2020年4月14日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
弥冬(プロフ) - 面白くてニヤニヤが止まりません！応援してます (2020年4月14日 0時) (レス) id: 0c4007c939 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小学７年生 | 作成日時：2020年4月13日 11時
