４６話 ページ48
疲労が限界に達した私はほんの数秒……数十秒……数分。
そう、ほんの二、三分眠ってしまった。
あの緊張した場面で居眠りする奴があるかと言われれば何も言い返せないが眠気に抗おうとして腕をつねったり爪を立てたりしたので努力は認めてほしい。
目が覚めたあとも意識がはっきりせず、不安定に灯る街灯を頼りに夜道を歩いて沢田家に帰宅したことしか覚えていなかった。
そして翌日の今日も修行は続く。
一日かけて取り組んでもめぼしい成果は得られず、とぼとぼと帰路についていたところ、帰り道に山本くんがいる道場があるので寄っていこうということに。
「ちゃおっス」
「よお！」
急な来訪にも関わらず、山本くんは笑顔で私たちを迎えた。
「小村もおつかれ」
「ありがとう。山本くんもね」
挨拶を終えると、山本くんは何かを言い淀むように声を漏らしながら頬を掻いた。
合わない視線の先には壁があるばかりで、彼が言いたいことが私にはおよそ見当もつかない。
首を傾げていると、きまりの悪さを誤魔化すように薄ら笑いを浮かべた山本くんの黒目だけがこちらに向く。
｢……オレが首突っ込むことでもないかもしれねーけどさ｣
言い始めて覚悟が決まったのか、今度は顔もこちらを向く。
「獄寺のこと、許してやってくんね？ 昨日のこと、結構気にしてたっつーか」
嵐戦のあと、私だけは獄寺くんの元に行かなかった。
それに気まずさのようなものを感じて目を逸らした。
その様子を見た山本くんは、私が怒っていると思ったらしい。
実際、腹は立った。
生きるか死ぬかの盤面で、大多数が生を望んでいるのにそれを聞き入れなかった獄寺くん。
「許すも何も、私は別に怒ってないよ」
私たちばかり獄寺くんを大事にしているようで、想いのアンバランスさが恥ずかしくなって嘘をついた。
いや、嘘というのは違う。
怒っていないのは本当で、どちらかというと傷ついたという方が正しい。
「あいつも心入れ替えただろうし、な？」
「……うん。ほんとに怒ってないんだけどね」
これから大事な戦いがある彼に、心を煩わせるのは申し訳ない。
押し通された風を装って肩をすくめると山本くんはほっと息を吐いた。
その後山本くんのお父様が合流し、
山本くんとお父様の意見は流派を超える超えない問題で真っ向から対立した。
そんな問題が解決しないまま、私たちは並盛中へ向かうのだった。
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小学7年生(プロフ) - 雛。さん» 雛。様、コメントありがとうございます！そのコメントが嬉しいです〜！！ちまちま更新しますので今後ともよろしくお願いします！ (2021年12月8日 18時) (
レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
雛。(プロフ) - 加筆嬉しいです。ありがとうございます (2021年12月8日 8時) (レス) @page11 id: 9ec0000aae (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 弥冬さん» ありがとうございます！ これからもニヤニヤしながら読んでいただけるよう頑張ります！！ (2020年4月14日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 霧菜☆紗理屋さん» そう言って頂けて本当に嬉しいです！ これからも読んでくださると嬉しいです！！ (2020年4月14日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
弥冬(プロフ) - 面白くてニヤニヤが止まりません！応援してます (2020年4月14日 0時) (レス) id: 0c4007c939 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小学７年生 | 作成日時：2020年4月13日 11時
