３３話 ページ35
正直、こういうのは苦手だ。
笹川先輩には悪いがボクシングは見るのも嫌になる。
平和な世の中に生まれておきながらなぜ武力を競うのか理解できないし、そもそも攻撃されたら痛い。
それらを見てると自分が直接的に関わっていなくても、顔が歪み吐き気がこみ上げる。
そのためリングが光に包まれ、眩しくて何も見えなくなった時は助かった。
「オレのサングラスを貸してやる」
それなのに有無を言わさずサングラスが手渡された。
差し出した本人である赤ちゃんは既に装着済みだ。
他の三人も彼に渡されたサングラスを着けていた。
準備がいいとか、備えあれば憂いなしとかの話ではない。
こうなることを予測していたのではないかと疑いたくなるのも無理はないだろう。
もちろんそれは私の杞憂だと思う。
「目ぇ背けんな。お前はもう部外者じゃねーんだ」
光り輝くリングから先輩の苦しそうな声が聞こえる。
それから、思いきり殴るような音も。
その音の直後、何かが焼けるような音がして、一際大きな先輩の悲鳴が響く。
チェルベッロの声がロープは電熱の鉄線で何百度にも熱せられていると冷たく説明した。
ドラマみたいな偽物と分かっているものなら平気だ。
でもこれは本当に起こっていることで、しかも自分の身近な人で。
「うっ……」
我慢の限界が近づいたのが分かって、すかさず口元を覆う。
「私の思う究極の肉体美とは、朽ち果てた冷たくて動かない
楽しげに言っているがそれってつまりは死体のことではないか。
これが役者の台詞だったらどれだけよかっただろう。
ただの悪夢だったならどれだけ救われただろう。
「おいリボーン、無茶させるのは……」
ツナくんの優しい発言が胸を締め付ける。
“見る”。
たったそれだけのことができなくて彼に気を使わせているということが辛い。
「一般人なのに巻き込まれたのは、今戦ってる了平も同じだぞ」
地面にへたり込む私の前に立つリボーンくんは依然厳しい言葉を向けてくる。
「……くっ、ふざけるな！」
先輩の力強い声。
ツナくんが「当たった」と明るく言ったことで、先輩の攻撃が相手にヒットしたのだと判断する。
「それでも戦ってんだ」
吐き気が少しだけ収まる。
「だからお前も逃げんな、A」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 287人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小学7年生(プロフ) - 雛。さん» 雛。様、コメントありがとうございます！そのコメントが嬉しいです〜！！ちまちま更新しますので今後ともよろしくお願いします！ (2021年12月8日 18時) (
レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
雛。(プロフ) - 加筆嬉しいです。ありがとうございます (2021年12月8日 8時) (レス) @page11 id: 9ec0000aae (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 弥冬さん» ありがとうございます！ これからもニヤニヤしながら読んでいただけるよう頑張ります！！ (2020年4月14日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 霧菜☆紗理屋さん» そう言って頂けて本当に嬉しいです！ これからも読んでくださると嬉しいです！！ (2020年4月14日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
弥冬(プロフ) - 面白くてニヤニヤが止まりません！応援してます (2020年4月14日 0時) (レス) id: 0c4007c939 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小学７年生 | 作成日時：2020年4月13日 11時
