１９話 ページ21
【A視点】
「逃げなかったのですか。手駒になる決心がつきましたか？」
「フゥ太くんを置いていけるわけないじゃないですか」
戻ってきた六道さんは出ていく時と同様にフゥ太くんと一緒だった。
睨みをきかせると「それは残念」と心にもないことを言ってのけた。
「戻ってくる途中、君に関する面白いランキングを見せてもらいましてね。君がこちらに来てくれるととてもありがたいんです」
ボーッと虚空を見つめるフゥ太くんは何も言わずに抱えていた本を六道さんに手渡した。
阿吽の呼吸。
相手の考えていることが全てわかっているかのような行動に違和感を感じる。
パラパラと捲られるページ。
六道さんはあるページで指が止め、見開きの二ページをずいっと私の目の前にやった。
「【潜在能力ランキング】……？」
題名を読み上げ、これがなんだと六道さんの様子を窺う。
糸で縫い付けたように綺麗に持ち上がった口角が完璧な笑顔を作り出していた。
相変わらず気味が悪いと本に視線を戻すと、一位の文字の横に私の名前を見つけた。
「……こんなの、
驚いたのはほんの一瞬だ。
知ってる名前を書き連ねただけ。
二位以降に並ぶアルファベットの名前だって、フゥ太くんの知り合いなのだろう。
「クフフフフ……ええ、君にとってはそうかもしれないですね」
含みを持たせた言い方に顔を顰める。
それよりもフゥ太くんだ。
あんなに大事そうにしていた本を敵に簡単に渡すし、何も話さないし目から生気も感じられない。
「フゥ太くんに何をしたんですか」
「聞いて君に何ができますか」
お前には何もできない。
六道さんはそう言いたげだ。
「私にできることは限られてるかもしれないですけど、それでもできるだけのことをします」
「クフフ、勇ましいですね」
――ふと、何もかもが分からなくなった。
私が顰めっ面をしていた理由も、六道さんに苛立っていた理由も。
いや、そんな気がしただけで本当は顰めっ面も、苛立っていたりもしていなかったかもしれない。
「二人とも、歩けますね？」
視界はクリアなのに、私の周りにだけ濃霧があるかのように世界が不明瞭に感じた。
そんな中で、六道さんの声だけがハッキリと聞こえてくる。
私は六道さんの言葉に頷いて足を動かした。
「懐かないのなら、操ってしまえばいいだけだ」
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小学7年生(プロフ) - 雛。さん» 雛。様、コメントありがとうございます！そのコメントが嬉しいです〜！！ちまちま更新しますので今後ともよろしくお願いします！ (2021年12月8日 18時) (
レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
雛。(プロフ) - 加筆嬉しいです。ありがとうございます (2021年12月8日 8時) (レス) @page11 id: 9ec0000aae (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 弥冬さん» ありがとうございます！ これからもニヤニヤしながら読んでいただけるよう頑張ります！！ (2020年4月14日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 霧菜☆紗理屋さん» そう言って頂けて本当に嬉しいです！ これからも読んでくださると嬉しいです！！ (2020年4月14日 14時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
弥冬(プロフ) - 面白くてニヤニヤが止まりません！応援してます (2020年4月14日 0時) (レス) id: 0c4007c939 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小学７年生 | 作成日時：2020年4月13日 11時
