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「……その子のそばに、薄汚いおっさんがいなかった？
今時考えられないような趣味の悪い和服を着た、見るからに軽薄そうな……」
「ふむ？ いまいち把握しかねるが、それはその子のそばに阿良々木がいたかどうかという意味の質問か？」
「違うよ！ お前私ののことを薄汚いおっさんだと思っていたの!?
和服なんてどんな派手な柄のものでも着たことないよ！」
「自分が言われて嫌なことを他人に言ってはダメだぞ、阿良々木」
「正論だ！」
正論は人を傷つける。
いつだって。
「まあ、いずれにしても、阿良々木、その黒髪の子は、一人だった。誰もそばにはいなかったぜ」
「ふうん……何時頃の話？」
「確か、夕方の五時頃だったかと」
「五時頃……」
私はまだ、文化祭の準備に手一杯な頃だな。
椎名と正門で話す前だ。
「どこら辺で？」
「国道沿いの、ドーナツ屋さんのそばだ」
「ああ、あそこか……浦田くん、きみ、結構遠くまでお散歩してんのね。
子供の足で、行動範囲広いじゃん……ドーナツ屋ねえ」
そのドーナツ屋は、ミスタードーナツだ。
それは、多少のリアリティが生じる要素だった。
でも、あのそらるが一人で――なんて。
そんなことが、ありえるのか？
いや、しかし、こんな地方の田舎町でのことだからな……そんなの、そらる以外にいるわけがない。
そこに加えて、ヘルメットにゴーグルと来れば……。
だけど、どうなのだろう、そらるって、あの学習塾跡からそんなに離れて行動できるものなのか？
なんとなく、私は勝手に、そらるはあの場所から離れられないのだろうと思い込んでいたけれど……そう言えば歌詞さんは、そんなこと、一言も言っていないな。
けれど、あの歌詞さんが果たしてそらるに、単独行動を許すか……？
「ああ。おれもそう思って」
と、浦田くん。
「もしもその子が本当に吸血鬼だったら、おれなんか相手にならねえから、見かけた位置から近付くことさえできなかったけど、これは阿良々木に報告しておいた方がいいのではと、今日はこの場所で阿良々木を待ち伏せしていたというわけだ」
「あ、そうなの？」
偶然会ったんじゃなかったんだ。
そう言われてみれば、見かけたとき、浦田くんはなんだかきょろきょろしていた。
今日も私は、待たれていたのか。
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灰猫(プロフ) - きゆかさん» 初コメありがとうございます！ヮー！！更新遅くてすみません……！！これからも読んで頂けると幸いです！！ (2022年9月7日 21時) (
レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
きゆか(プロフ) - 初コメ失礼します、更新うれしいですありがとうございます…！！いつも楽しく読ませていただいてます！これからも応援してます✨ (2022年9月7日 20時) (レス) @page48 id: 533f2abba6 (このIDを非表示/違反報告)
灰猫(プロフ) - realさん» わー！いつもありがとうございます！！これで化は終わりなのでせめて最後まで頑張ります！！ (2022年8月15日 0時) (レス) id: 0b53369cd7 (このIDを非表示/違反報告)
real(プロフ) - 毎回コメント失礼します。あ、めちゃくちゃ待ってましたキャットターン()今回も最後まで楽しませて頂きます！ (2022年8月10日 19時) (レス) id: 3d1cb866c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰猫 | 作成日時：2022年8月2日 17時
