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「もー、分かったよ。」
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さっきから、ずっと私の腕を掴んだままで離してくれないカズにぃ。
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「大丈夫だよ、先にﾁｰｽﾞ買ってあげるから。だから離してよ。」
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私の腕をしっかり掴んで、
ずんずん前へ進むカズにぃ。
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そうしたら、
途端に足を止める彼。
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和也「・・ここ、コレ。」
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何やら、
私の目の前に品物を持ってくる。
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和也「これがいい。覚えといて。」
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カズにぃの中で、決まりがあるらしく
特定のﾁｰｽﾞを買え
と、そう言う。
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「ほら、もういいでしょ？次、先輩のお弁ｔ・・」
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和也「じゃ、次。」
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私の言葉を遮って、
また腕を引いてスタスタと行く。
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「ちょ・・・、もうﾁｰｽﾞ買ったでしょ？」
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一生懸命、掴まれた腕をぐいぐい抜こうとするけれど、
全然離れない。
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和也「なんで、そんなに翔ちゃんの弁当優先なの。」
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ムっとした声で、
背を向けたまま言う。
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「そ・・それは・・」
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私が、言葉に詰まっている間に
カズにぃの進むﾍﾟｰｽがどんどん早くなる。
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和也「・・俺の晩飯より、翔ちゃんの弁当が大事？」
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ﾄｰﾝの変わらない声で、そう言うから、
不機嫌なのが察せられる。
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不機嫌になるところが、どこにあったか
全然分かんない。
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「そりゃ・・他所の人だし・・、カズにぃは身内だもん。」
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私がそう言うと、
一瞬足が止まったけれど
カズにぃが
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和也「・・・〜」
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聞き取れない何かを言って
また、ずかずかと進みだした。
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カズにぃ、変だよ。
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私、
最近、カズにぃの
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言動が
よめない。
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作成日時：2012年3月11日 14時
