待ち人 ページ17
週に1度は
爪のメンテナンスに訪れていたにかさんが
もう2週間以上も来ない
「忙しいのかな」
そりゃそうか
アイドルが指ばかり気にしていられないよね
1番は顔なんだし
私もそろそろ式に向けてエステに行かなきゃいけないかも
試着した時に鏡に映った顔が浮腫んでいたんだもん
二の腕だって細くしたい
たかちゃんが選んだドレスは腕が丸見えだったから
ちょっと恨んでるよ
普通は花嫁が選ぶんじゃないの
「あ 桜木さん にかさん最近来ないね」
予約のお客様も今はいなくて
ネイルチップの試作品の作業をしていた私を
パーテーションの隙間から覗いているまあくんに声をかけた
「そのうちふらッと来るだろ」
それだけ言い残してさっさと行ってしまった
そのうちねえ
それっていつかな?
マスクを外すと約束していた日
私はかなり緊張していた
心臓が苦しいくらいに
「手が好きなんですか?」
そう訊ねる彼に
指を掴みながら自分の価値観をひたすら語ってしまった
そんな事どうでもいい話なのに
学生だった頃に似たような話をたかちゃんとまあくんにしたけれど
まあくんは「結局 手フェチってこと?」と軽い調子で言って
たかちゃんは静かに笑っていただけ
でも
にかさんは
「いいねえ」
太陽のような笑顔をくれた
共感してくれたのかはわからないけれど
それがとても嬉しかったの
その言葉と笑った目尻に胸がきゅんと鳴ったのを思い出していた
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作者名:8みつ | 作成日時:2020年6月20日 23時