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入口の前に立つ ページ15

仕事終わりにまあくんと
*居酒屋show和*の暖簾をくぐるといい匂い

たかちゃんとはいつもお高い店ばかりだからこういうのなんかいいよね

カウンターしか空いてなくて並んで座った

「お疲れッ」

ビールと烏龍茶のグラスを合わせると
まあくんは一気に飲んで口を開く

「貴志はまだ帰国してないの?」

「うん最短1ヶ月って言ってたかな」

「なげぇなおい」

「もっと長かったりして」

なるほどねって顔をして焼き鳥を一口で食べた
よくそんなに口が開くよね

「でも式の準備とかあるだろ 進まないんじゃない?」

「そうだ 聞いてよ 昨日たかちゃんから連絡がきてドレス選んだから試着して来てなんて言うのよ?」

矢継ぎ早にまだ続ける

「たかちゃんてやさしいけど何でも勝手に決めるところあると思わない?」

「まだまだ子供だと思ってるんだろ?」

まあくんの人差し指が私に向けられる

私はいつになったら子供から大人になれるんだろう

対等な恋愛がしたかった
それだけが心残りなのかもしれない

「ちょっとごめんな 電話だ」

仕事の電話っぽい お客さんかな

通話終了ボタンを押すとポケットにしまって

「にか が髪切りたいってさ」

にかさんだったのね
髪も爪もってほぼあの店に入り浸っているような

「なかなか面白い男だろ?」

「そうだね この前 送ってもらっちゃった」

何気なくそう言ったのに

一瞬 無表情になって
彼の黒目が斜め下に移動した

「結婚前に変な気起こすなよ」

「なによそれ」

おまえに限ってそんな事ないかって
大口で笑うまあくんの隣で


私は静かに焼き鳥を一口頬張って
あの日の彼の横顔を思い浮かべていた

2→←2



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作者名:8みつ | 作成日時:2020年6月20日 23時

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