１６２話 ページ17
｢では急ぎましょう。家具のうしろに適当に隠れてください。静かにしていてくれればこっちで何とかするんで｣
私たちは言われるがまま、川平不動産の中へと足を踏み入れた。
家具のうしろに隠れるなんて、子供とのかくれんぼじゃないんだぞと心配に思いながら、それでも言われた通りにするしかなかった。
机の下、棚のうしろ、けして広くない店内で私たちは身を隠せる場所を探して息を潜めた。
棚のうしろに隠れていると外がザワザワと騒がしくなったのが聞こえてきた。
ザクロさんが来たからという事なのだろうけれど、さっきまで人っ子一人いなかったというのにどうして急に。
息を飲む。
ガラス戸が開く音。
一気に緊張が高まった。
呼吸音すらも察知されそうで、私はできるだけ静かに息を吸い込む。
戸を開けた人は一言も喋らない。
しばらくしてから｢……ったく、やりにくいったらねえぜ｣と、アジトで聞いたものと同じ低い声が聞こえた。
やっぱり訪問者はザクロさんだった。
｢一軒ずつ燃やしてあぶり出すしかねーか｣
まずいまずいまずい。
見つからなかったとしても店ごと燃やされてしまえば意味がない。
どうにかこの状況を乗り切る方法はないのか。
しかし応戦するために出ていくのも良い手とはいえない。
｢なんですって！？ 燃やすってあーた！｣
汗が止まらない手の平をぎゅっと握りしめていると、川平さんが慌てだした。
自分の店が燃やされると言われれば当然だ。
｢わたたっ、たっ……セーフ！｣
……転んだのだろうか。
状況を確認できないので確かなことは言えないけど、ツナくんが床に転がった時と同じ音がした。
それと、ラーメンの汁が飛ぶ音も。
｢バーロー！ 気をつけやがれ！｣
｢すっ、すみません！｣
｢許さねーよ。家と一緒に燃やしてやる。……っ！！｣
なんとも横暴な発言をしたザクロさんの足音がなぜか遠ざかっていく。
こちらに戻ってくる気配はない。
川平さんの｢富士山まで行ってらっしゃい。実態のない殺気を追って｣という言葉を聞いて、私たちは少しだけ家具から顔を出した。
そこには川平さんの姿しかなく、ザクロさんは見当たらない。
助けてくれたのは良かったが、どうやって追い払ったのだろうという疑問が残った。
それは私だけでなく、皆も同じはず。
｢真６弔花は行ってしまったよう。これでしばらくは大丈夫でしょう｣
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小学7年生(プロフ) - 星風みやびさん» 星風みやび様、コメントありがとうございます。3つもリクエストを頂けて助かります！ 考えてみますね！ (2021年1月4日 0時) (
レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
星風みやび - 正月で暇してたので更新嬉しいです！〇〇してみたけいなら、「好きって言ってみた」「猫耳つけてみた」「ポッキーゲームしてみた」「お化け屋敷に入ったら」がみたいです！ (2021年1月3日 22時) (レス) id: 41f261eb6e (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - シェリーさん» シェリー様コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。遅くはありますが、最後までお付き合いください^^ (2020年12月15日 23時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
シェリー(プロフ) - いつも楽しませてもらってます！続き楽しみにしてます！ (2020年12月15日 19時) (レス) id: ffb82a2b0d (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 雛。さん» 雛。様、コメントありがとうございます。拙い文にも関わらず、楽しんでいただけたようで作者も嬉しいです^^ (2020年11月18日 18時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小学7年生 | 作成日時：2020年9月22日 23時
