１５８話 ページ13
｢野郎、ふざけやがって！｣
｢変な奴だな｣
リングに炎を灯す獄寺くんと山本くん。
その二人の前にスっと長い腕が伸びる。
｢てめーらじゃ役に立たねぇ。ユニをつれてさっさとここから去れ！｣
スクアーロさんだった。
彼のリングもまた青色の炎を灯している。
役に立たないなどと、そんな言い草はないだろうに。
一対一でやり合うより全員で戦った方がずっと利口だ。
それがユニちゃんを逃がすための発言だとしても、数人は残した方がいいだろう。
｢ええ！？ 去れって……でも……一人で！？｣
ツナくんの戸惑いの混じる声は私の気持ちも代弁してくれた。
｢わかんねーのかぁ！ すでにお前らは、攻撃されてんだぞぉ！｣
普段でも大きなスクアーロさんがそのがなり声をいつもより大きくした。
言葉を聞いて意識すると、ザクロさんのリングからすごい量の深紅の炎が噴き出していた。
それをスクアーロさんが炎を出して当たらないようにしてくれていたのだ。
赤色の炎は嵐、青色の炎は雨。
炎の特性はそれぞれ分解と鎮静。
雨の炎で嵐の炎を相殺してくれていたことに、言われてようやく気付けた。
これは確かに役立てない。
炎の攻撃にさえ気付けない私たちには。
｢オレも残るぜスクアーロ！｣
山本くんが性懲りも無く前へ出てスクアーロさんに声をかけた。
そんな彼をスクアーロさんは｢うぜぇﾞ！｣と怒鳴りつけた。
｢まだ俺のことがわかってねぇーなぁ……！ そろそろ一人でゆっくり静かにひっそり暴れてぇーんだぁ！！｣
ぴきぴきと顔に血管を浮き上がらせて勢いよくこちらを振り返るスクアーロさん。
庇ってくれるつもりで素直になれず言っているようには見えないので、きっと本心から出たことなのだろう。
彼の気持ちを受け取って私たちはアジトから出ることにした。
そんな中、立ち止まったまま動かないユニちゃん。
｢ユニちゃん！？｣
行動の意図が読めずにいると、ユニちゃんはスクアーロさんにお礼を伝えた。
髪と同じ銀色の瞳を僅かに動かしてユニちゃんを見たスクアーロさんは｢……さっさと行けぇ｣と、いつもよりずっと小さな声で返答した。
｢ユニちゃん、もう行かないと！｣
｢はい｣
駆け足で着いてくるユニちゃんにホッとしながらスクアーロさんの言葉を思い出していた私。
ゆっくり静かにひっそり暴れたい。
修飾語とそれがかかる動詞がめちゃくちゃだ。
なんともまあ、スクアーロさんらしいけれど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 345人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小学7年生(プロフ) - 星風みやびさん» 星風みやび様、コメントありがとうございます。3つもリクエストを頂けて助かります！ 考えてみますね！ (2021年1月4日 0時) (
レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
星風みやび - 正月で暇してたので更新嬉しいです！〇〇してみたけいなら、「好きって言ってみた」「猫耳つけてみた」「ポッキーゲームしてみた」「お化け屋敷に入ったら」がみたいです！ (2021年1月3日 22時) (レス) id: 41f261eb6e (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - シェリーさん» シェリー様コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。遅くはありますが、最後までお付き合いください^^ (2020年12月15日 23時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
シェリー(プロフ) - いつも楽しませてもらってます！続き楽しみにしてます！ (2020年12月15日 19時) (レス) id: ffb82a2b0d (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - 雛。さん» 雛。様、コメントありがとうございます。拙い文にも関わらず、楽しんでいただけたようで作者も嬉しいです^^ (2020年11月18日 18時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小学7年生 | 作成日時：2020年9月22日 23時
