好意という厄介事 ページ24
討ち入り前日の夜、私は厄介事に巻き込まれていた。
「Aさん!食堂までご一緒して構いませんか?」
『私よりも良い方がいらっしゃると思いますよ』
「いえ!俺はAさんがいいです!」
断っているのだけれど。
その意図が伝わっているのかいないのか人懐こい笑顔で後を着いてくる彼。
しかもいつの間にか名前呼び。
あれからというもの、何かと構ってくるようになったのだ。
迷惑だとはっきりと言ってしまえれば楽なのだが、悪口とは違い、好意によるものなのでどうにもきつく言う事が出来ない。
しかし彼は私と居ては確実に目を付けられてしまう。
しかも今日は食堂が20時には閉まるとかでいつもよりも早くに行く事によって目立つはずだ。
どうしたものかと重い足取りで食堂へと向かう。
目的の場所に着き、適当に注文し席へと座る。
遅れてやって来た男も私の目の前にどかりと座る。
「Aさんそんだけで足りるんですか?」
『まぁ。あまりお腹は減らないので』
「それでなんであんなに強いんですか…」
『貴方もとてもお強いと、』
「優人です」
ニコニコと笑いながら訂正する彼に思わず言葉に詰まる。
あまり人の名前は呼びたくない。
その人に情が湧いたら困るからだ。
例えば名前の無い動物に名前を付けて呼ぶと愛着が湧くのと私の中では同じなのだ。
はぁ、と溜息を吐き少なくはない嫌悪の目を感じながら口を開く。
『それよりも、私といていいんですか?』
「……俺は俺の居たい人といるんです。他は関係ありません」
『……私は貴方と居たくないですよ』
「優人です、Aさん!」
敢えてスルーして言葉を正しにくる彼。
困り顔の彼は意外と図太いのかもしれない。
笑いながらも自分の意思を貫く姿はある人の面影と重なった。
そんなことを思って、何度目か分からない溜息を吐きながら定食を口へと運んだ。
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さやままま。(プロフ) - 黒猫♪♪さん» うわあああ遅れましたすみません!!頑張ります!ありがとうございます!!(*´ω`*) (2018年2月10日 13時) (レス) id: 79ed4b307e (このIDを非表示/違反報告)
黒猫♪♪(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!続き楽しみにしてます! (2018年1月14日 16時) (レス) id: 80ca512ce2 (このIDを非表示/違反報告)
さやままま。(プロフ) - 高杉紗夜香さん» うわー!ありがとうございます!!めっちゃ励みになります頑張ります!!(*´ω`*) (2018年1月13日 12時) (レス) id: 79ed4b307e (このIDを非表示/違反報告)
高杉紗夜香(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください!!応援しています! (2018年1月6日 21時) (レス) id: 47ea433c10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さやままま。 | 作成日時:2016年10月22日 8時