序章 ページ1
「はぁッ・・・はぁッ！」
月が照らす山の夜道を一人の女性が赤子を抱え必死な表情を浮かべ、時々後ろを確認しながら走っていた。
「ごめんねッ、ごめんねッ！あなただけは命に代えても私がっきゃあっ！！」
足がもつれてしまったためか、地面に女性が倒れると同時に赤子が腕の中から落ちてしまう。
「Aっ！！」
必死に手を伸ばそうとするも、足に上手く力が入らず立ち上がれない。
「ったく、あのクソアマどこに隠れやがった。」
「っ！！！」
己を追いかけてきた人影に恐怖によって出そうになる声を口に手を当てて押さえ、死角になる茂みへと体を引きずって身を隠す。
幸いにも子供には気づいていないらしく、追いかけてきた人物はそのままどこかへと行ってくれたようだ。
「ふぅ・・・ー。」
足にも力が入るようになり、急いで赤子を抱き上げ胸に耳を当てると小さいながらも一生懸命に鼓動している音が聞こえ涙を流しながら安堵する。
「良かった、良かったっ」
「誰か、いるのか？」
「っ！？」
しかし喜びもつかの間。月にかかっていた雲が晴れると人影が月明りに照らされ、まるで炎を擬人化したような男が女性を見下ろしていた。
「ひっ！」
「鬼！？」
男は女性の姿を確認すると口元から大きく見える牙に気付き、頚を斬らねばと咄嗟に腰に下げている刀に手をかけ引き抜くと、女性の瞳に業火が映し出される。
「ま、待って！」
女性の咄嗟に出された声に、向けられていた刃は頚の寸前で留まると首筋をツーっと鮮血が伝い、舞い上がっていた炎も静かに溶けて消えていった。
「はぁ、はぁっ」
「なんの真似だ。」
「お、おねがい、ですっ」
なんと女性は赤子を差し出すと地面に擦りつける程深々と頭を下げていた。
「どうかっどうかこの子だけは助けてくださいっ！！」
「なにっ！？」
「この子は殺される理由がないんですっ！！」
ポタポタと地面を女性の涙が沁み込んでゆく。
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あまね(プロフ) - 続き気になる！ (9月29日 0時) (
レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - meさん» いつも読んでくださりありがとうございますっ！！少しずつですが完結まで頑張っていこうと思います！ (2020年10月22日 15時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - 右の星を押したら既に投票済みでした..いつも楽しく読ませてもらってます！続きもがんばってください！ (2020年10月22日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴーたん | 作成日時：2020年5月13日 14時
