【d!!】天殺し(z。m) (ページ10)

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『…？』

あまりに急なことで、理解が追いつかない

｢ごめんな、ずっと俺、隠しとってん…ほんまは、悪口言われとることも、俺が嫌われとることも、お前が迷惑してることも知ってた｣

だけど

｢お前、素直やから、騙されやすいから、悪いやつに騙されんように俺がずっと付いててん…壊れんように、守りたかった…！お前に嫌われようが、俺は俺の天使を守りたかった｣

でもお前は…ｯ！ごめん！守ってあげられへんかった！

ぽろぽろと涙を流し私の肩に顔を埋める幼なじみ

やっぱりゾムはゾムだ
馬鹿だなぁ…もう

私まで、泣けてくるじゃないか

『ううん。ゾム、ごめんね、何も知らないままでいさせてあげたかった…汚い人間なんかに、私の天使を殺されて欲しくなかった』

何も知らない方が楽しく生きられるんだよ

｢何も知らない天使のままじゃ、楽しめない事もあるんやで｣

ついさっきまで天使だと思っていた彼は
いつの間にか立派な人間になっていた

『でも、もう、小さな頃みたいに遊べないの！』

人目を気にして
幼なじみをも拒絶する
小さいことをダラダラと気にして
生きたいとさえ思えなくなる
小さい頃に戻りたいと何度願ったことか
天使だった頃に戻りたいと何度泣いたことか

｢じゃあ俺が忘れさせたるから。馬鹿みたいに楽しませたるから、な？……そしたらまたガキの頃みたいに遊べるから｣

その言葉に、また泣かされてしまった

これから、楽しく生きよう

彼に任せればきっと楽しく生きられる気がした

だって、彼自身が人生を精一杯楽しんでいるのだから

『………ｯうん！』

どんな汚い世界でも

どんなに先が不安でも

知ってしまったものは忘れられないけれど

…もう、天使には戻れないけど

代わりに私達は必ずなにかを得ている

そう信じて