「努力家 1-4」 ページ45
「さぁ、どうしてでしょう。ただ気付いたら貴女が欲しいと思ったんです」
「だからね、貴女に言って差し上げたかったんです」
頬をうっすらと上気させ、彼は私を見つめる。
「僕だけは、貴女を裏切らない。」
「貴女に望むだけの無償の愛を与えれると。」
「どうです？僕とお付き合いでも」
唾を飲みこんで、意を決す。
「いいえ、結構です」
今日、何度結構ですと言っただろうか。
…何度断れば気が済むのだろうか。
ため息をついて、彼の方を見ると、身体を震わせていた。
「じゃ、じゃあ」
「貴女はどうすれば僕と付き合ってくれるんですか」
出来る限りの事は何でもする、とそう言いたげな目で見つめら、手をギュッと優しく握られる。
先ほどの威厳は何処に行ったのだろうか。路頭に捨てられた仔犬の様な顔をしている。
「貴女はどうすれば僕のことを好きになるんですか？」
「僕は、貴女の為に割に合わない契約だって履行したんですよ？」
真剣な物言いに、失礼ながら再三ため息をつく。
どういう嘘なのだろうか。何が目的なのだろうか。
またこのオンボロ寮を担保にする気なのでは、と警戒心がひしひしと高まる。
「え、と何が目的ですか？さっきから…」
手を離して、腕を組んだ。
「何かまた契約を結ぼうって言うんですか、やり方が悪徳なんで…」
そこまで言いかけて、口が止まった。
今にも泣きだしてしまいそうな、そんな絶望に満ちた顔。
私は今の今までこんな彼の顔を見たことは無いし、きっと他の誰も見たことが無い。
「僕が契約など関係なしに、ただ貴女を好きだと想ってはいけませんか」
声が、震えている。
悪くは無いと思うのに、罪悪感で胸が押し潰れそうだった。
「(はぁ…)」
声には出さず、心の中でもっと大きなため息をついて、頭を掻きむしる。
「え…とあの嘘です。酷いこと言いました。ごめんなさい」
頭を下げると同時に、彼はすくっと立ち上がった。
「…別に、構いませんよ。貴女が思っている事なんでしょう？」
何処となく、冷たい目を向けられている気がした。
そう一言呟いた彼は、こちらを振り向くことなく歩き始める。
「きっと帰ろうとしているのだ。
「(もとはと言えばそっちが…)」
そう叫びたいのを堪えて、腕を掴むと、立ち止まってようやく言葉を発した。
「…何なんですか。契約でも結んで下さるんですか？一生こき使って差し上げますよ」
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ていていて(プロフ) - 飛鳥さん» ２にての話数が足りなくなってしまったので、3の方でトレイ先輩夢載せさせて頂きます…！お手数ですが3の方にお飛びください…！（再度のリク有難うございます…！） (2020年4月24日 0時) (
レス) id: 07fa99b89e (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - またトレイ先輩のリクエストで大変恐縮なんですが、主人公が怒られちゃうお話もし可能でしたらお願いしたいです…。 (2020年4月17日 2時) (レス) id: e991a9fa95 (このIDを非表示/違反報告)
タコのトランプ(プロフ) - とっても素敵なお話ばかりで切なくなったり背筋が冷えたり楽しいです！よければジャミル先輩のを書いてください！お願いします。 (2020年4月16日 18時) (レス) id: 27b3bc46a1 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ - 本当に最高のお話でした..！！読んでいると、切ない気持ちになりました！素敵なお話をありがとうございました(≧∀≦) (2020年4月12日 9時) (レス) id: 2ef73a5082 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ - あと、リクエストお願いしてもいいでしょうか..？可能であれば、レオナさんとのお話をお願いしますm(_ _)m (2020年4月11日 18時) (レス) id: 80b818e3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ていていて | 作成日時：2020年4月3日 0時
