「終わりの見えない旅 1-2」 ページ31
「己と異なる物には誰も彼もが惹かれて、恋焦がれる」
紅茶に、角砂糖を落とされ、スプーンでカチャカチャとかき回していく。
「もう一つ入れてやろう」
無造作に入れられた角砂糖が、ゆっくりと形を崩していき、底にへと貯まる。
「お前といると、心が安らぐ。」
「これからも傍に居れば良い」
甘ったるい紅茶を口にし、大人しく二人の寵愛をその身に受け続けるこんな毎日が続いていたある日
「たまには、わしとも二人きりで話さんか？」
廊下を歩いていると、真上からリリア先輩が逆さになって現れ出てきた。
もう慣れたので、特に驚くことなく、いつもと同じ調子で挨拶をしすると、(周りは騒いでいるが)からかいがいが無いと言いながら、きちんとした体制に戻って、幼子の様に可愛らしく体を寄せる。
「夜のマレウスの散歩にも度々付き合っていると聞いてな」
「…どうじゃ？わしと二人は嫌か？」
うるうると大きな目を滲ませては、断れるものも断れないだろう。
元よりそういうつもりも無かった私は、良いですよと笑って彼と二人きりのお喋りを受け入れた。
…
「ほう、これまた趣のある…」
「ははっ…汚くて申し訳ないです。」
“二人きり“と言われても、そんな都合のいい場所が思いつかず、結局私はあのオンボロ寮へとリリア先輩を招き入れた。
「いいや、こういうのも好きじゃ」
良き、良きと満足げに談話室のソファに腰を落として、クフフと笑う。
なんだかとても楽しそうだ。釣られて私も自然に微笑みが零れた。
「お主と居ると年甲斐もなくはしゃいでしまいたくなるものよ」
隣に座り、他愛もない話をしていると、ふとリリア先輩はそんなことを言い始め、
ふぅと息をついて、意を決した様に私に向き直った。
「…マレウスはお主のことを大層気に入っている」
「それはもう宝石を愛でるかの如く」と、どこかもの悲し気な顔をして微笑んだ。
「もし“異世界”で生き続けるのが不安というのであれば、面倒ぐらいは見てくれるじゃろう」
「お主は、今後どうしようと考えておる？」
リリア先輩は子どもを諭すようにゆっくりと言葉を述べ、私の反応を伺う。
「(確かマレウス先輩ってお偉いさんだったような…)」
妖精族の末裔、と聞いたことがある気がする。
「(嫌ではないけど、息がつまりそうだなぁ…)」
あの威厳のある振る舞いから察するに、住んでいる所もお城だろうし、周りもきっとセベクみたいな人ばっかりで、無礼の一言で朝が始まり、夜が終わってしまいそうだ。
「終わりの見えない旅 1-3」→←「終わりの見えない旅 1-1」リリア夢（リク有難うございます！）
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ていていて(プロフ) - 飛鳥さん» ２にての話数が足りなくなってしまったので、3の方でトレイ先輩夢載せさせて頂きます…！お手数ですが3の方にお飛びください…！（再度のリク有難うございます…！） (2020年4月24日 0時) (
レス) id: 07fa99b89e (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - またトレイ先輩のリクエストで大変恐縮なんですが、主人公が怒られちゃうお話もし可能でしたらお願いしたいです…。 (2020年4月17日 2時) (レス) id: e991a9fa95 (このIDを非表示/違反報告)
タコのトランプ(プロフ) - とっても素敵なお話ばかりで切なくなったり背筋が冷えたり楽しいです！よければジャミル先輩のを書いてください！お願いします。 (2020年4月16日 18時) (レス) id: 27b3bc46a1 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ - 本当に最高のお話でした..！！読んでいると、切ない気持ちになりました！素敵なお話をありがとうございました(≧∀≦) (2020年4月12日 9時) (レス) id: 2ef73a5082 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ - あと、リクエストお願いしてもいいでしょうか..？可能であれば、レオナさんとのお話をお願いしますm(_ _)m (2020年4月11日 18時) (レス) id: 80b818e3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ていていて | 作成日時：2020年4月3日 0時
