「だからおやすみ 1-2」 ページ26
私は、彼と一緒に居るとき以外、起きていることを許されない身となってしまった。
起きていること、と少し語弊がある。
もっと正確にいうならば“時が経つ事”だ
眠っている間、私の時間は止まり続け。起きているときだけ、ゆるやかに動き出すという馬鹿げたおとぎ話のようなことが、実際に私の体に起きている。
「痛いじゃろう？手当をしてやろう」
そうして差し出された手を払いのけた。
「いらないから、帰して」
布団を前へ持ってき、威嚇するように声を荒げる。
だが、それでも身体は後ずさるばかりだ。
「何をそんなに怒っているんだか…」
腕を組んで、ベッドに腰掛け、私の髪を撫でる。
「…い、や」
今すぐにでも突き飛ばして、蹴り飛ばして、ぐちゃぐちゃにしてやりたいと思うのに、
身体が震えるばかりで動こうとしない。
逆らったら、何をされるか分からないとは言えども、自分の臆病さにはただ反吐がでるばかりだ。
「クフフ、もう少し可愛く甘えてみても良かろうに」
何を言っても、なにをしても彼はずっと微笑みを絶やさない。
その態度がより私に恐怖の感情を植え付ける。
それでもじたばたとさがり続けているうちに壁へとぶつかった。
「何、考えてるんですか…」
ゆっくりと彼は距離を詰めながら、幾度となく聞いた彼なりの“理屈”をまた話し始める。
「何度も言っただろう」
「わしは共に過ごしたいだけじゃと」
「愛しいお主が傍に居るだけで、毎日が楽しいことよ」
こんなことは生きてきた中で初めて。とまるで初恋をした少年のように顔を綻ばせる。
やっていることと、言っていることがちぐはぐすぎて、理解などそれこそ一生出来ないだろう。
「愛しいって言うなら、ここから帰して下さい…」
涙がポタポタと溢れてくる。
それをなんとも愛らしいという風に、手で拭い私を抱きしめる。
「お主とわしは生きてる時間が違うからのう…」
「わしの魔力でお主の身体が染まり切るまでの辛抱じゃ」
「さすれば、ずっと一緒になれるであろう」
優しい口調なのに、話が通じていない。
何を言っているのかが分からなかった。
涙は収まることが無く、溢れ続ける。
その度に彼は、先ほどと同じことを言い続けた。
まるで、それが私の救いになるというかの如く。
「あぁ…安心しろ。お主にわしを置いていかせなどしない」
「わしが見初めた女を、そう簡単に逃すわけが無かろう？」
あやすように言われた言葉は、棘のように鋭く私の心に突き刺さった。
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ていていて(プロフ) - 飛鳥さん» ２にての話数が足りなくなってしまったので、3の方でトレイ先輩夢載せさせて頂きます…！お手数ですが3の方にお飛びください…！（再度のリク有難うございます…！） (2020年4月24日 0時) (
レス) id: 07fa99b89e (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - またトレイ先輩のリクエストで大変恐縮なんですが、主人公が怒られちゃうお話もし可能でしたらお願いしたいです…。 (2020年4月17日 2時) (レス) id: e991a9fa95 (このIDを非表示/違反報告)
タコのトランプ(プロフ) - とっても素敵なお話ばかりで切なくなったり背筋が冷えたり楽しいです！よければジャミル先輩のを書いてください！お願いします。 (2020年4月16日 18時) (レス) id: 27b3bc46a1 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ - 本当に最高のお話でした..！！読んでいると、切ない気持ちになりました！素敵なお話をありがとうございました(≧∀≦) (2020年4月12日 9時) (レス) id: 2ef73a5082 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ - あと、リクエストお願いしてもいいでしょうか..？可能であれば、レオナさんとのお話をお願いしますm(_ _)m (2020年4月11日 18時) (レス) id: 80b818e3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ていていて | 作成日時：2020年4月3日 0時
