「だからおやすみ 1-1」リリア夢（リク感謝です！） ページ25
私は今日も王子様のキスで目が覚める。
「クフフ…御目覚めは如何かな？お姫様」
寝台から身体を起こして瞼を開けた。
女の子らしい装飾の多いドレスは、思っていたよりも夢は無く、
動くのに邪魔という感想しか出てこなければ、立ち上がる気なども起きなかった。
特に今のこんな状況下では。
「…」
その王子様がもう一度身体を寄せるのを、ひたすら黙って待つ。
いつも通りなら、あともう少しでまた私は眠りにつくのだろう。
「(その前に…)」
ギュッと掌に力が入る。
決して間違えないようにと、自分にもう一度言い聞かせる。
「…ふむ、今夜はあまり機嫌がよろしくないみたいじゃな」
王子様の顔が近づく。
それでは、おやすみと口づけが落ちてくる。
あと、もう数秒で。
「…」
ドレスの裾で隠しながら握り締めていた茨を、彼の顔に押し当てようとするが、
いつから気付いてきたのかあっさりと茨ごと手を絡め取られてしまう。
「っ」
ブスリ、と棘がゆっくり肌の中に入りこむ。
「離して…！」
痛いからではない。触られるのがただ嫌で、
ヒステリックに手を振り回すが、彼は離そうともせず、むしろ先ほどよりも力を強めていき、
棘もそれに負けじと、私の肌に浸食を続ける。
全ての棘が、私の肌に刺さった後、手を離され恐る恐る自分の手を見た。
そしてごく自然に、小さな悲鳴を出してしまう。
「ようやく声を出したか、おはようA」
恐怖の色に染まりゆく私と、違って彼はいつもと変わらない調子で私に微笑みかけてきた。
私はある人に攫われたきり、どこかの部屋へ閉じ込められ続けている。
その人の名は、リリア、と名乗っていただろうか。
いかんせん、あまり関わっていなかったこともあって、名前をはっきりと覚えていない。
そう、関わっていないのに、そのリリアと名乗る男は私をいきなり攫ったのだ。
薔薇に囲まれた寝台。月の光だけがはるか上から届く天井。そうして茨に包まれた扉。
何もないこのイカれた部屋で普通に過ごしていたのならば気が狂っていたかもしれない。
だけど、攫われてきてから幾ほどの時間が経ったか分からないにも関わらず、
この部屋で過ごした夜はほんの数十回程度しかなく、私もまだまともで居続けられている。
それもこれも元凶である、リリアさんのおかげで。
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ていていて(プロフ) - 飛鳥さん» ２にての話数が足りなくなってしまったので、3の方でトレイ先輩夢載せさせて頂きます…！お手数ですが3の方にお飛びください…！（再度のリク有難うございます…！） (2020年4月24日 0時) (
レス) id: 07fa99b89e (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - またトレイ先輩のリクエストで大変恐縮なんですが、主人公が怒られちゃうお話もし可能でしたらお願いしたいです…。 (2020年4月17日 2時) (レス) id: e991a9fa95 (このIDを非表示/違反報告)
タコのトランプ(プロフ) - とっても素敵なお話ばかりで切なくなったり背筋が冷えたり楽しいです！よければジャミル先輩のを書いてください！お願いします。 (2020年4月16日 18時) (レス) id: 27b3bc46a1 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ - 本当に最高のお話でした..！！読んでいると、切ない気持ちになりました！素敵なお話をありがとうございました(≧∀≦) (2020年4月12日 9時) (レス) id: 2ef73a5082 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ - あと、リクエストお願いしてもいいでしょうか..？可能であれば、レオナさんとのお話をお願いしますm(_ _)m (2020年4月11日 18時) (レス) id: 80b818e3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ていていて | 作成日時：2020年4月3日 0時
