「いつかの憧憬 3-4」 ページ21
「先輩は、何に怒ってるんですか…？」
馬鹿な私の物言いに対してチッと舌打ちをされても、彼から目を背くことは出来なかった。
「分からない、ですか」
「本当に僕の事なんてどうでも良いんですね貴女」
最低だ、と言われた気がした。
首の横にあった脚が下ろされて、ずっと立っていた先輩がベッドに腰掛ける。
もう手招きはしてはくれずに重苦しい沈黙が続く。
破ったのは、私たちの声ではなく、クッションを投げつける音。
「…痛いでしょう。膝」
正座を続ける私を見かねて、先輩が渡してきてくれたのだ。
お礼を言って、その上に座る。
そしてまたしばしの沈黙が訪れる前に、先輩がぽつりと口を開いた。
「…別に僕にもう何を重ねてもらっても構いません」
重ねようとする気はない、と今訴えかけたらよりややこしいことになりそうなので、
そっと黙って、続きを促す。
「だけど、それをするなら僕の傍に一生居ると契約をして下さい。」
魔法で生み出した契約書を手渡し、悲しげな顔で私の頭を撫でてくる。
「…え、と」
戸惑いながらも一旦その契約書を受け取った。
文字はよく読めないが、さっき言っていた内容が書かれているのだろう。
「一生って…それってあの」
どうして私は今プロポーズ紛いを受けているのだろう？
この緊迫した空気に押されながらも、また契約書を返そうとした。
「(ま、だちょっと心の準備が…)」
が、すると代わりに大声が返ってくる。
見たことも無い、取り乱した様子で。
「この僕がここまで譲渡してあげているんですよ！」
「(何を？)」
「良いから黙って早くサインしてください！僕はとても傷付いたんです！」
「(だから何で？？)」
ギャーギャーと騒がれ、ペンを持たされる。
「一体何が不満だって言うんですか。貴女の望みを叶えて差し上げるんですよ」
「好きなだけ、貴女の想い人として甘えて良いと言っているんですよ？」
「どこに不満がありますか？」
「(ええいもうどうにでも…)」
根負けし、私は名前を契約書に書いた。
どうせ、異世界だ。帰る予定だ。どうにかなるだろうと信じて。
黄金に光り輝いたそれは、また先輩の元にへと舞い戻って行く。
「はぁ…少々予定は狂いましたが、」
「…これで貴女が手に入るというのなら、きっとまだ安いんでしょうね」
先輩は心の底から嬉しそうに微笑んだ。
何故だかその笑顔を見ると、胸が痛んでどうしようも無かった。
「(…先輩ってもしかして)」
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ていていて(プロフ) - 飛鳥さん» ２にての話数が足りなくなってしまったので、3の方でトレイ先輩夢載せさせて頂きます…！お手数ですが3の方にお飛びください…！（再度のリク有難うございます…！） (2020年4月24日 0時) (
レス) id: 07fa99b89e (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - またトレイ先輩のリクエストで大変恐縮なんですが、主人公が怒られちゃうお話もし可能でしたらお願いしたいです…。 (2020年4月17日 2時) (レス) id: e991a9fa95 (このIDを非表示/違反報告)
タコのトランプ(プロフ) - とっても素敵なお話ばかりで切なくなったり背筋が冷えたり楽しいです！よければジャミル先輩のを書いてください！お願いします。 (2020年4月16日 18時) (レス) id: 27b3bc46a1 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ - 本当に最高のお話でした..！！読んでいると、切ない気持ちになりました！素敵なお話をありがとうございました(≧∀≦) (2020年4月12日 9時) (レス) id: 2ef73a5082 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ - あと、リクエストお願いしてもいいでしょうか..？可能であれば、レオナさんとのお話をお願いしますm(_ _)m (2020年4月11日 18時) (レス) id: 80b818e3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ていていて | 作成日時：2020年4月3日 0時
