90%対10%の君 (ページ42)

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部屋にはいる寸前で、背後にエマがいることに気づいた
気づいたというか、彼女が声をかけてきたからなんだけど

｢エ……エマ、驚かさないで｣

｢えへへ、ごめんねなの!A、マーサたちとなにはなしてたの?｣

｢あー……写真家の腹けったことマーサ怒ってて……｣

｢あー……お疲れ様なの｣

｢エマはどうしたの?｣

テンポよく会話は進み本題について進む、多分部屋までつけてきてた

｢……Aは、荘園を出ていっちゃうの?｣

エマの口から出た言葉に私は思いっきり反応し
エマの腕を掴んで即で部屋に入れた
ドアを大きな音を立てて閉めて鍵を勢いよくかけた
少し息を切らしている私にエマは容赦なく聞いてくる

｢……やっぱりそうなの……｣

目にいつものような光はなく、ただただ寂しさがつたわってきた

｢……いや、色々と事情があってさ｣

まずは説明しなければ何もできないので、エマをソファーに座らせ
話を始めた

数分でエマに教えたのは
主から来た手紙と、私が貰うもの、絶対に手紙を送るから
黙っておいて欲しいということ、そして私の計画

少し、いやかなりグズりながらエマは聞いていた
今までもこうやって荘園から出る人を見送ったのだろう
彼女はここに来てかなり経つ、なのに彼女よりあとに来た人達が
出ていく、自分は永久にこのままなのか、また忘れられてしまうのか
そんな恐怖を何回体験したのだろうか
こんな幼い体にどれほどの悲しみを詰め込んでいるのか
考えれば考えるほど、悲しくなった

｢いいかな、エマ｣

｢……うん、わかったの｣

しょんぼりしながら私の部屋を後にしたエマはおそらく部屋に戻った
あー……バレてしまったやらかしてしまった、エマは信用できるし
問題ないが、彼女の精神をまた傷つけてしまう
それが私には何より重く感じられた

その日はあまり、よく寝つけなかった