90%対10%の君 (ページ20)

今日:12 hit、昨日:11 hit、合計:31,073 hit

19% ページ20

昨日、自分の脚本を読んで思ったこと
表現の仕方のバリエーションがない
そう思った

とある人は
枯葉を見て枯葉、枯れっ葉、枯れた葉
と、このように様々な言葉を使うが
私は、枯葉と聞けば枯葉とかく
それだけ、とてもつまらない

どうしようかと悩みながら
荘園を散歩した
当然のように後ろから、今日も君はついてくる

｢おはようA、なにか悩んでるのかい?らしくないね｣

｢……おはよう写真家｣

｢おや素直に挨拶するのは珍しい｣

｢失礼だな、挨拶くらい私はできるよ｣

他愛もない会話をしながら私はただ歩いた
コツコツと足音を鳴らして歩けば
後ろからはコツコツと同じ足音
カツカツと足音を変えれば
後ろの音も変わる

｢……気持ち悪い｣

｢なんのことかな｣

今日もわざとらしく苦い笑みを作る写真家
庭に出て、外にある手入れされた木を見つめた時
写真家は私を写真にうつした
私が階段を上がる時も、ドアを開ける時も
まるでストーカー、写真を取られる度やめてとは言ってるが
やめる気配はない

悩みを話せって意味だろう

しょうがなく話した

｢私は表現のバリエーションが少ないだろ?
だからどうしようかなと｣

｢したいようにすればいいじゃないか、らしくない｣

｢仮にも脚本家の1人だからね、恥を晒すのは避けたいのさ｣

｢恥でもなんでもないと思うけどね｣

そう言って写真家は続けた

｢私はAの表現が好きだけどな
ことりの羽音、木々の揺れる音、ひまわりのような笑顔
桜のように可愛らしい色をした服……｣

｢全部覚えてるの?気持ち悪い｣

｢失礼だなー……｣

｢ようは、君は君でいいんだよ、
美しい表現っていうのは言葉が難しくなってしまうんだ
実際私は有名な脚本家の話を読んだが、表現が難しくて
あまり上手く伝わってこなかったんだ
それに比べ、君の表現はわかりやすいし感情もつたわってくる
君は君でいい表現をしてるんだよA、
現代社会ではそういった貴重な人材も減ってきているし
君は自分の個性を生かすべきだと私は思うよ｣

意外といいアドバイスを貰った
アドバイスっていうか……褒められただけだけど
私はこのままでいいんだね、みんな同じなら怖いし
ま、少しは自信が持てたかなって感じさ

感謝するよ写真家

もちろん気持ち悪くて一発頬にビンタかましたけどね