90%対10%の君 (ページ13)

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広い荘園で心眼、ヘレナを探すのは大変だ
今日中に見つからないかもしれないし
ヘレナがいるところの心あたりなんてない

どうしようか……
とことん探すしかないけれど
それでは時間がなくなってしまう

廊下で立ち止まって考え込んでいた

後ろから肩を叩かれ
声をかけられた

｢どうしたの?脚本家さん｣

彼女は祭司、フィオナだ

｢フィオナ……心眼にこの脚本をあげたくて｣

｢えっ｣

私が手に持っている脚本は
きっと１０cm以上は厚みがある

たしかに私も書き上げた時は驚いた
普段作る脚本は厚み3〜5cmぐらいだし
ここまで厚くなるとは思わなかったから

｢ヘレナも物好きなのね｣

苦笑いを浮かべながら祭司は聞いてくれた
そして

｢なら私がヘレナのところまでゲートをつなげましょうか?｣

と言った、
たしかにワープゲートを使えば
すぐに渡せる

祭司は頭がいいな
私の辞書にはワープゲートなんて言葉なかった

｢……よし、つながったわよ｣

いつの間にか祭司はゲートをつなげおえて
ゲートに入っていた

｢ありがとう、祭司｣

なにかお礼としてできることはないか……
あ、そうだと思い出しバックから出したのは
ハスターのきている服の布きれ

｢!!?なっ……何故あなたがハスター様の服の布を!!｣

｢ハスターがくれたの、あげるわ｣

｢……!!?いいの?ありがとう｣

飛び跳ねるほど喜んでくれた

ワープゲートをくぐると
そこは図書室だった

ん?
ちょっとまて
図書室……

図書室は私がさっきまで脚本を書いていた場所

ヘレナもいたのか……
ストーブをつけて行ったからか
図書室はすごく暖かかった

目に入ったのは
机に顔を伏せるようにして寝ている写真家

まだ寝ていたのか……

その奥には
目当ての人物ヘレナがいた

｢ヘレナ｣

近づいていき
声をかけた

｢……A?かしら｣

寝ぼけているのか音をあまり判断できていないようだが
それでも誰かわかるのは
すごいと思った

｢約束通り
点字で書いたんだ!!｣

そう言ってヘレナに脚本を渡すと
ヘレナは嬉しそうに声をあげて
喜んだ

｢本当に書いてくれたのね!!｣

そう言って喜ぶヘレナの姿は
映画で言う、美しく飛ぶ鳥のようだった