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皆が待っていた広い中庭へとAが着いたあと、すぐに始まった神前式を模した儀は、お館様の前で義勇とAが杯を交わして誓いの言葉を述べる、というものだった。
大勢の人の前で義勇が誓いの言葉を述べた時には、「冨岡ってあんなに長く喋れたんだな」という声がどこからか聞こえてきて、Aも周りと一緒になって思わず笑ってしまった。
「皆さん、それぞれ忙しい方たちばかりなのに…ありがとうございます」
無事に儀を終えAが嬉しそうにそう言って頭を下げると、周りから聞こえてくるのは「本当におめでとう」の声。
「義勇さん、どうしましょう。私…こんなに幸せでいいのでしょうか」
涙を流しながらそう言うAに、優しい表情を浮かべながら無言でAの背を撫でた義勇に、今度は「おい、あの冨岡が笑ってる…」との声が聞こえてきて、やっぱりAは可笑しくて笑ってしまう。
「…俺だって、喋るし笑うこともある」
「ふふ。…とくに、好きなことなら饒舌にお話されますよね」
「…んー、残念ながら、俺たち冨岡の好きなものすら知らねぇなぁ」
気の抜けた天元の声に周りの者皆がうなづくので、Aがそれに答えるように「義勇さんのお好きなものは、鮭大根と、あとは…」と言ったきり残念ながら言葉を途切らせるのを見て、代わりに義勇が口を開く。
「Aだ」
「え、」
「Aのことなら、誰よりも語れる自信がある」
真面目な表情でそう言ってのけた義勇に、Aは恥ずかしそうに顔を俯かせて、周りの者はそれをはやし立てるように声をあげる。
「いやぁ、お熱いね〜」
「…さすが新婚さん」
「素敵!私も早く、素敵な旦那さまを見つけたい…!」
結局そのまま、その場にいた者たちにAと義勇が明日行くはずだった任務が振り分けられて、なんと明日も休みを頂いたAたちは、せっかくだからと少し遠出することとなったのだった。
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チーズ(プロフ) - レインさん» コメントありがとうございますー!!不器用、じれったいをモットーにして書いたものなので、そう言っていただいて嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございます! (2019年12月17日 21時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 義勇さん不器用すぎていつ、くっつくんだ!早くくっつけ!クソッ!!見てるこっちがなんかアレだ!!(語彙力) 面白い!! 完結おめでとうございます! (2019年12月17日 20時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - たまごさんさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございます!!そうだったんですね!嬉しいです!次作でもどうぞよろしくお願いします! (2019年12月1日 7時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
たまごさん(プロフ) - はああ・・・やはり良きです・・・完結おめでとうございます!!無惨様の作品は知らず知らずのうちに見ていました!!好きだなあと思って、作者誰だろ?と下にスクロールしたらまさかの・・・。僭越ながら次作でも応援させていただきます!! (2019年12月1日 0時) (レス) id: 8760f7a678 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - orangeさん» こちらこそ、最後までお付き合い頂きありがとうございます!ぜひ書かせていただきます(^^)もうしばらくよろしくお願いします! (2019年11月30日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月13日 13時