言えない2文字(( 橙黄 )) (ページ4)

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「っ、… 、」

だけど、俺は言えるわけもなくて、
この関係も壊したくもなくて。

そう思えば小さく息を吐いてから俺はその目に溜まった涙を全て綺麗に拭き取る。

そして、何度か瞬きをして、涙を乾かす。

この涙は誰にもバレてはいけない。
もちろん、まるにも。

そして、俺は進んできた通路をゆっくりと戻っていく。

戻っていけば、
先ほど分かれた場所にまるは居た。

「あ、…亮ちゃん、」

俺の姿を見つければ、名前を呟いて、申し訳なさそうに俺を見つめて唇を少しかみ締めれば気まずそうにして、言葉を発しようとする。

そうすれば、俺は

「あ、…まる、さっきごめんな！言い過ぎたわ！」

と、相手が喋ることを遮るようにいつもの喋るトーンでそう言って笑ってみせる。

上手く笑えてるか。
俺は今、ちゃんと笑えているんか。

「だけど、しつこいのは本音やけどな。」

と、冗談混じりにけらけら、と相手に笑ってみせて、相手の肩をばしばし、と乱暴に叩いた。

そうすれば相手も先ほどの気まずい顔が無くなり、「嘘やん、」とまるは笑窪をこちらに作って見せた。

今回の笑顔は上手く笑えている気がした。

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