エピソード１１ 訓練兵団 ページ16
あの訓練の日から２ヶ月。成績発表まであと一週間に迫っていた。
あれからずっと、Aは水路に近づかない。それどころか、リヴァイのことさえ考えることを止めていた。
そんなある休日。Aはいつものように目を覚ました。
「…もう…また…？」
酷い寝汗だった。枕はびっしょりと濡れ、頭もべとべとだった。
こうなることは珍しくはない。毎晩、あの夢を見ているのだ。
あの夢を…
「……気持ち悪い…」
毎晩、巨人の口に放り込まれる。
いつも、いろんな方法で対抗してみる。だが、いつも無駄だった。
「…調査兵になるな…ってことなの…？」
Aは泣きそうな声で言った。
だけど、一日だけ。一日だけ、何かが違ったときがあった。
Aは覚えていないが、何かを叫んだとき、空から人影が降ってきた。
たったそれだけだったが、Aは助かった。と実感していた。
「あ〜…憂鬱…」
Aはべとべとになった頭を、がしがしとかいた。
Aはさっとシャワーを浴びて、ベットに腰かけた。そして、窓から空を見ていた。
…つまらないなぁ…まるで、ここに入ったばっかりのときみたい…
…リヴァイさんと会うまではこうやって…
Aはぶんぶんと頭を振った。
「リヴァイさんなんて、知らない…」
そう自分に言い聞かせるように言った。
こんな朝は朝食も食べる気にならない。
朝食時間になっても部屋から出てこないAを心配し、さっきローランスからメールが届いていた。
『どんなに憂鬱でも、パンくらい食っとけよ』
「うるさい…」
Aはそのまま携帯を閉じた。
そして、金魚鉢のもとへ。
「……ごめんね…」
Aの口からポロリと出てきた言葉。
Aはそっと金魚鉢を撫でた。
金魚はそんなAに近寄ってくる。
「ごめんね…」
Aはもう一度謝った。
気づいたら、一時間もたっていた。
…そういえば、１０時に宅配便来るんだった…
Aは立ち上がり、部屋を出ようとした。
「…………」
そのとき、Aの目にカレンダーが止まった。
…明日は最後の馬術訓練か…確か、少し実践的なことをするんだった…
Aは最後になる愛馬のことを思いつつ、部屋を出た。
まさか、最後の訓練であんなことか起こるなんて、思いもしなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼李(プロフ) - カナさん» はいそんな感じです(笑)すいません、小説にできなくて… (2014年11月7日 20時) (
レス) id: d7cdcb1c5d (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 蒼李さん» ありがとうございます！！コミックと同じですね！！ (2014年11月6日 16時) (レス) id: 89cb74bfc3 (このIDを非表示/違反報告)
蒼李(プロフ) - カナさん» リヴァイが小さいとき、一緒に暮らしていたといわれていますが、まだくわしくはわかっていないんです…(コミック派なので…)ですから、ケニー的には『自称リヴァイの父』リヴァイ的には『何か危ないおっさん』って感じにしようとしていました(笑)この程度です！ (2014年11月5日 23時) (レス) id: d7cdcb1c5d (このIDを非表示/違反報告)
蒼李(プロフ) - カナさん» ああっ！忘れていました！(泣)本当に申し訳ございません！(泣)では、こちらで…。(ネタバレ)原作は読んでいらっしゃいますか？ケニーは原作でも登場します。『切り裂きケニー』と呼ばれています。大量殺人鬼なんです。 (2014年11月5日 23時) (レス) id: d7cdcb1c5d (このIDを非表示/違反報告)
蒼李(プロフ) - まりあさん» ありがとうございます！まりあさんにはいつも助けていただきました！感謝が尽きません！本当にありがとうございます！また次のお話で会えることを願っています！ (2014年11月5日 23時) (レス) id: d7cdcb1c5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
