【シャドウサイド】続章〜4〜妖魔界と鬼族

179☆つむじ風 ページ29

刀のような風は鋭く飛んで、ウィスパーの腕をかすめたあと地面に突き刺さった。

ウィスパーは声をあげながら慌てて横に飛び退く。


｢ちっ…外したか｣


ちょっと不機嫌そうになった声が後ろから響いた。

皆が振り返ると空中に、大きな鎌を持ち、鋭い瞳をした妖怪が浮かんでいる。

｢ウィスパー！あれ、なんて妖怪？｣

ウィスパーは少しあたふたしてから、叫んだ。


｢あれは…妖怪、かまいたちでウィス！鎌で人を切り裂く恐ろしい古典妖怪でウィッス！｣


全員一歩下がる。


｢人間に会うのは久しぶりだな…切らせろ！｣

｢くそっ、こんなときに出会うとは…｣

ミッチーが手を握りしめてかまいたちに向かおうとしたが、かまいたちの攻撃が次々に飛んでくる。

｢はははは！いけ、嵐の術！｣


強い妖怪だ。

｢皆さん、一度逃げましょう！こんな時ですから体力を削らないことを優先しないと…｣


そういうフクロウに、ケースケは頷いた。


｢そうだね…！みんな、こっちだ！｣



ケースケは、父の手をとって走り出した。

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