何回だって君に。【青】

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心臓がうるさい

なんで和泉さんはここにいるの？
もしかしてあの時から勘づかれてたのかな

それより、なんで先生は和泉さんのことを知っているの…？



医｢…ころんくん、先に診察室へ入っていて｣



普段の知人に会った時の僕の慌てた姿から察してくれたのか先生はさりげなく僕をここから逃がそうとする


ゆ｢待ってください〜
ゆずはころんくんに用があるんですよ？｣


いつかさよならしたときに見た気がするこの笑顔
怖かったのを覚えている

目の奥が笑っていないのだ
まるで、全てをくだらないと言い切るかのように

医｢ころんくんは今日忙しいから
柚子は学校でもどこでも会えるでしょう｣

ゆ｢いいえ、今が好都合

お姉ちゃんこそ先に準備でもしておけばいいんじゃない？ころんくんが忙しいなら時間短縮の為に努めた方がいいよ｣


二人の間で静かに炎をともし火花を散らす銅線

その火を素手で摘み消すかのように僕は止めに入った


こ｢わかった
僕に用があるんでしょ？行こう｣


和泉さんの手首を握り歩き始めると、それを追い越し僕より小さな姿が前に見えた


医｢…そういうことするから


早めに戻ってきてね〜？｣


ぱたぱたと足音が遠ざかるのを最後まで聞くと、僕は和泉さんに向き直った
彼女はにこにこしながら口笛を吹いている


こ｢…で、話って｣


ちらりと視線を寄越すと和泉さんと目が合った
終わりのない空洞のような瞳に吸い込まれそうになっていると、その艶やかな唇が弧を描く


ゆ｢好きです｣







ゆ｢ころんくんのことが好きです
私と付き合ってください｣









こ｢……え、｣


困惑の意を漏らそうが顔色一つ変えずに微笑んでいる


ゆ｢…一応ですけど、本気です
冗談とかじゃありませんから｣


ずんと言葉がのしかかり脳が回転し出す

告白された、しかも和泉さんに


僕には好きな人がいるのに
いや…告白は自由だけど

僕はこれを断らなきゃいけないんだ


こ｢…ごめん、僕好きな人が｣


ゆ｢知ってます、すいさんですよね｣


ふっと鼻で笑うとそう告げた
憎たらしいほどに精巧な笑みが崩れると心の内が少し零れた


ゆ｢うざい、ですよね正直
男の子に囲まれて調子に乗ってるようにしか見えません｣


こ｢は、はぁ？
悪口言うんだったら尚更和泉さんとなんて…!!｣


ゆ｢でも、ころんくん
すいさんに酷いこと言ったんですよね？






そんなに好きなのに









なぜですか？｣

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