5 赤side ページ6
白のＴシャツに黒のゆったりとしたスウェットパンツを身に着けた重岡が大きな欠伸をしながら仏間に踏み入れる。右手をＴシャツの裾に突っ込み、ぼりぼりと胸の辺りを掻きつつも、慣れた手つきで一つずつ目覚まし時計を止めて回る姿は、流石と言うべきか。
全ての目覚まし時計を止め終わると、重岡はその流れで部屋の電気をつけた。暗闇の中で起こそうとしても逆効果なのだと言うことは既に学習済みである。
パッと明るくなった室内に眩しさからか、もぞもぞと布団の山が動いた。それを覚醒し始めている証拠だと見極めるると、重岡は漸く神山の枕もとにしゃがみ込み、布団の山に手を乗せ揺らした。
「とも、朝やで。起きやぁ」
「、んぅ」
「今日はいつもより唐揚げを多く作らなかんのやろ？」
「……つくりゅ」
「ココア淹れたるから」
「……ここあ？」
「飲むやろ？」
「……のむ」
ほら起きて、の声とともに、伸ばされたままの右手に指を絡める。重力に従い、だらりと落ちていた手に僅かながら力が込められて行くのを感じ取ると、ゆっくりと引っ張った。
引っ張られるのに釣られてうーん、と身体を伸ばす。布団の山に籠っているとはいえ、その上からも身体のしなやかさがよくわかる。猫のようだ、と思うが重岡は口にはしない。
神山の可愛い所は総じて自分だけが知っていればいいのだ。
基本的に重岡は秘密主義者である。特段神山のことになるとそれが行き過ぎる嫌いがあるのだが、それを正しく執着から来る独占欲と認識しているから質が悪い。
神山の可愛らしい動きを目に焼き付けつつ、それでも本来の目的である起こすことを忘れることなく進める。布団の山の中からくわり、と小さな欠伸が聞こえたのはその時だ。
欠伸から少し遅れて神山が布団の山から頭を出す。抱き枕に頬を擦り寄せて、光に背くようにうつ伏せの体勢になろうとする姿はまるで赤ちゃんのようだ。眩しいのか目は閉ざされたままだが、目尻に溜まった涙が庇護欲を掻き立て、可愛らしいの一言しか浮かばない。
真っ白な布団に金色の髪はよく映えた。少しだけ根元が黒くなっているのが幼ささえ感じさせて、気付いた重岡は頭に手を移動させると、そのまま優しく、髪の毛を指で弄びながら撫でた。
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せろ(プロフ) - ミウさん» お初目にかかります、せろです。この度はご感想、ありがとうございました。何度も読み返して頂いているとのこと。本当に感謝しかありません。きっと近日中には続編が上がるはず。気長にお待ちいただけると幸いです。寒い日が続いています。体調にはお気をつけ下さい。 (2020年11月2日 20時) (
レス) id: c4282b60a2 (このIDを非表示/違反報告)
せろ(プロフ) - 憂さん» お初目にかかります、せろです。この度はご感想いただき、ありがとうございました。本当に感想をいただけることが励みになっております。微力ながら憂さんの活力になれていると嬉しいです。少しずつ今書いています。温かいお言葉痛み入ります。憂さんもご自愛ください。 (2020年11月2日 20時) (レス) id: c4282b60a2 (このIDを非表示/違反報告)
せろ(プロフ) - ま。さん» お初目にかかります、せろです。ご感想、ありがとうございました。今回の更新は私もきゅんきゅんしてました。正門君に…っは！Jr.の子達も出して大所帯となってきました。きっと今後はしげちゃんがきゅんきゅんさせてくれるはず…。今後もお楽しみ下さると幸いです。 (2020年11月2日 20時) (レス) id: c4282b60a2 (このIDを非表示/違反報告)
ミウ(プロフ) - はじめまして。何回も読み返したくなるくらい面白くて好きです！これからも無理なさらない程度に頑張ってください。更新楽しみにしています(*´`) (2020年11月2日 11時) (レス) id: 118c412c42 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - はじめまして。とっても楽しく拝見させていただきました！これからも更新楽しみにしています！無理なさらずにがんばってください(^^) (2020年10月30日 3時) (レス) id: 1b0f5e1577 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せろ | 作成日時：2020年10月17日 2時
