運命を運ぶお弁当 1 ページ43
根本的な解決には至らないまま、ただただ愚痴を溢しただけの約三十分間であったが、吐き出してみるといくらか楽にはなるもので、ぐっと上体を背もたれにそって反らすとぺきり、と背骨が鳴った。スッキリ爽快とはまではいかないが、リフレッシュにはなった。
トレーを手に片付けるため立ち上がる。と、不意に中間とは異なる「しげ」の声に、重岡の視線は出入り口に向いた。
「久しぶりやなぁ」
「りゅ、流星！？」
何でここに、と言う言葉が続く。珍しいスーツ姿の藤井とまさか職場があるビルのコーヒーショップで会いまみえるとは。
ラフな格好の流星を見慣れているせいか、やっぱりこいつってイケメンやなぁ、とまじまじと見つめてしまった。
面識のない中間が重岡の耳元で「誰？」と囁く。慌てて中学の同級生と伝えると、えらいイケメンやな、と先程まで重岡が思っていた感想を中間が漏らした。中間の素の言葉に藤井が苦笑する。
「重岡の中学時代の同級生の藤井と言います。すみません、まさかここで会うとは思わなかったんでつい呼び止めてまいました」
中間が『藤井』という名字を耳にして眉を潜める。ぶつぶつと『藤井流星』と呪文のように繰り返す中間を横目に重岡が、俺の上司の中間さん、と紹介するが、中間の耳には入っていない。
藤井はその中間の姿に困惑の色を瞳に滲ませる。居心地悪そうに首を竦めると、唐突に失礼しました、と申し訳なさそうに一声かけて、その場をあとにしようとした。
踵を返し、重岡たちに背を向ける。コーヒーショップを出ようとした藤井を引き留めたのは、重岡ではなく、中間であった。
その声は上擦っていて、同様と驚きが混じったような声色だった。
「ふ、藤井さんってあの『Rainbow』のデザイナーですか！？」
え、と間抜けな声を上げたのは重岡だ。
中間が興奮気味に藤井との距離を詰める。昼前のまだ閑散としているときでよかった、と珍しく的はずれなことを重岡は思っていた。
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せろ(プロフ) - ミウさん» お初目にかかります、せろです。この度はご感想、ありがとうございました。何度も読み返して頂いているとのこと。本当に感謝しかありません。きっと近日中には続編が上がるはず。気長にお待ちいただけると幸いです。寒い日が続いています。体調にはお気をつけ下さい。 (2020年11月2日 20時) (
レス) id: c4282b60a2 (このIDを非表示/違反報告)
せろ(プロフ) - 憂さん» お初目にかかります、せろです。この度はご感想いただき、ありがとうございました。本当に感想をいただけることが励みになっております。微力ながら憂さんの活力になれていると嬉しいです。少しずつ今書いています。温かいお言葉痛み入ります。憂さんもご自愛ください。 (2020年11月2日 20時) (レス) id: c4282b60a2 (このIDを非表示/違反報告)
せろ(プロフ) - ま。さん» お初目にかかります、せろです。ご感想、ありがとうございました。今回の更新は私もきゅんきゅんしてました。正門君に…っは！Jr.の子達も出して大所帯となってきました。きっと今後はしげちゃんがきゅんきゅんさせてくれるはず…。今後もお楽しみ下さると幸いです。 (2020年11月2日 20時) (レス) id: c4282b60a2 (このIDを非表示/違反報告)
ミウ(プロフ) - はじめまして。何回も読み返したくなるくらい面白くて好きです！これからも無理なさらない程度に頑張ってください。更新楽しみにしています(*´`) (2020年11月2日 11時) (レス) id: 118c412c42 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - はじめまして。とっても楽しく拝見させていただきました！これからも更新楽しみにしています！無理なさらずにがんばってください(^^) (2020年10月30日 3時) (レス) id: 1b0f5e1577 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せろ | 作成日時：2020年10月17日 2時
