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もう一度電話をしたら出てくれるだろうか。
一縷の望みが脳裏を掠めるも、すぐに無理だろうなと結論付ける。伊達に二十七年間もの間幼馴染をしていない。重岡は諦めてはいないものの、タイミングのことも考え、断腸の思い出で深いため息を吐く。落ち込んでいても時を巻き戻すことはできない。意を決するように椅子から立ち上がると、再びため息を漏らしながら携帯をスラックスのポケットにしまい込んだ。
近寄ったらじめっとしそうな雰囲気を纏う重岡は、名残惜し気に談話室の出入口へと歩を進めると、出入り口付近で書類を抱いて立ち尽くす後輩の女性社員に向き直った。
自身の身長よりも十数センチ低い女性社員は、重岡の視線に気付いてか、頬を染めて重岡を見上げた。重岡にそんな意図はなくとも、猫を被っている時の重岡の面差しは非常に優しい。女性社員はもじもじと身体をくねらせると、セミロングの横髪を手櫛で整えだした。
当の重岡はというと、少しはきゅんとしそうなシチュエーションにもかかわらず、「ともは俺より少し身長がちっちゃいくらいだから首もそんなに痛まないんだよな」と全然他のことに意識を向けていたのだが、女性社員からすれば知る由もない。
真面目に神山との身長差を考えていたせいか、視線が若干熱っぽくなっていたらしい。女性社員が更に頬を染め上げ、肩を竦める。セミロングの女性らしい柔らかな茶色の髪は美しい。ちょっとした動作にも揺れる髪が、期待に踊っているようで軽やかだ。だがしかし重岡がそれに気付くことない。微笑みを、と言っても作り笑いであるが、それを張り付けたように笑うと女性社員の名前を口にした。
重岡からすれば、折角の神山との電話だったにもかかわらず、ずけずけと談話室に入ってきて声を掛けて来た人物である。正直恨みや憎しみこそなくとも、邪魔すんじゃねえよ、という苛立ちは確かにあるが、職場と言うこともありぐっと堪える。
緊急事態でなければただじゃ済まされないぞ、と宣言するかのように語気を普段よりも強めにして名を吐き出す。不機嫌ですよアピールは雰囲気から。誰の言葉だったかは思い出せないが、あまり親しくない相手に感情を露わにすることが苦手な重岡は、その言葉を鵜呑みして実行に移した。
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せろ(プロフ) - ミウさん» お初目にかかります、せろです。この度はご感想、ありがとうございました。何度も読み返して頂いているとのこと。本当に感謝しかありません。きっと近日中には続編が上がるはず。気長にお待ちいただけると幸いです。寒い日が続いています。体調にはお気をつけ下さい。 (2020年11月2日 20時) (
レス) id: c4282b60a2 (このIDを非表示/違反報告)
せろ(プロフ) - 憂さん» お初目にかかります、せろです。この度はご感想いただき、ありがとうございました。本当に感想をいただけることが励みになっております。微力ながら憂さんの活力になれていると嬉しいです。少しずつ今書いています。温かいお言葉痛み入ります。憂さんもご自愛ください。 (2020年11月2日 20時) (レス) id: c4282b60a2 (このIDを非表示/違反報告)
せろ(プロフ) - ま。さん» お初目にかかります、せろです。ご感想、ありがとうございました。今回の更新は私もきゅんきゅんしてました。正門君に…っは！Jr.の子達も出して大所帯となってきました。きっと今後はしげちゃんがきゅんきゅんさせてくれるはず…。今後もお楽しみ下さると幸いです。 (2020年11月2日 20時) (レス) id: c4282b60a2 (このIDを非表示/違反報告)
ミウ(プロフ) - はじめまして。何回も読み返したくなるくらい面白くて好きです！これからも無理なさらない程度に頑張ってください。更新楽しみにしています(*´`) (2020年11月2日 11時) (レス) id: 118c412c42 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - はじめまして。とっても楽しく拝見させていただきました！これからも更新楽しみにしています！無理なさらずにがんばってください(^^) (2020年10月30日 3時) (レス) id: 1b0f5e1577 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せろ | 作成日時：2020年10月17日 2時
