バイトの憂鬱 1 ページ25
藤井が店を去った後、簡単な清掃をすると、シャッターを閉めて一時的に閉店する。十一時から再開する、というお知らせプレートをシャッターの真ん中あたりに掛ければ、朝の業務は終了である。
神山は大橋と正門を二階に案内すると、リビングに通した。何度も上がっている部屋は勝手知ったるもので、神山に言われる前に皿やコップ、箸などを取り出し配膳すると、テーブルに着席した。
アルバイトとはいえ、業務時間外になれば、客人となる。これは神山のこだわりである。アルバイトとはいえ、誘ったのはこちら側だというスタンスがあるらしい。何とも律儀なものだ。
アルバイトの立場からすると、恐縮してしまいそうな場面だが、頑なに譲ろうとしないので、アルバイト達は早々に根負けした。とはいってもやっぱり落ち着かないので、配膳などの細かなことは手伝うが、料理一切はお任せして、神山がのびのびと調理できるようにテーブルに着席しては、色々と話したり、大学の課題をこなしたりと各々時間を有効活用していた。
この日、大橋と正門は共に課題等がなかったため、自然と駄弁りにっていく。真面目に卒論の話をしていたが、それも早々に話題が尽きると、今朝のお弁当事件に変わった。二人の顔色が、卒論を話していた時よりも嬉々とし出す。どの時代においてもこういう手の話は面白いのだ。
「どうしてお弁当をわすれるかなぁ」
「慌てていたとはいっても、行ってきますの挨拶もなしに行ってまったもんなぁ」
「あの時の智洋くんの顔、捨てられた子犬のようで見とれんかったわ」
「神山くんからお弁当を受け取っとらんことに重岡くんは気付いてんのかな？」
「気付いてないんちゃう？ あの慌てようだったから頭からスコーンと抜けてるっしょ」
だよなぁ、と正門が項垂れながらお茶を啜る。少し肌寒くなってきた今頃には温かい緑茶が染み渡る。正門はほう、と息を吐くと、藤井の名前を口にした。
「藤井くん、お弁当持ってったやん？ お弁当箱返すって言っとったけど……今日よな？」
「だと思うで？」
正門の言葉に同意をしつつ、大橋も湯呑みに口付ける。
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せろ(プロフ) - ミウさん» お初目にかかります、せろです。この度はご感想、ありがとうございました。何度も読み返して頂いているとのこと。本当に感謝しかありません。きっと近日中には続編が上がるはず。気長にお待ちいただけると幸いです。寒い日が続いています。体調にはお気をつけ下さい。 (2020年11月2日 20時) (
レス) id: c4282b60a2 (このIDを非表示/違反報告)
せろ(プロフ) - 憂さん» お初目にかかります、せろです。この度はご感想いただき、ありがとうございました。本当に感想をいただけることが励みになっております。微力ながら憂さんの活力になれていると嬉しいです。少しずつ今書いています。温かいお言葉痛み入ります。憂さんもご自愛ください。 (2020年11月2日 20時) (レス) id: c4282b60a2 (このIDを非表示/違反報告)
せろ(プロフ) - ま。さん» お初目にかかります、せろです。ご感想、ありがとうございました。今回の更新は私もきゅんきゅんしてました。正門君に…っは！Jr.の子達も出して大所帯となってきました。きっと今後はしげちゃんがきゅんきゅんさせてくれるはず…。今後もお楽しみ下さると幸いです。 (2020年11月2日 20時) (レス) id: c4282b60a2 (このIDを非表示/違反報告)
ミウ(プロフ) - はじめまして。何回も読み返したくなるくらい面白くて好きです！これからも無理なさらない程度に頑張ってください。更新楽しみにしています(*´`) (2020年11月2日 11時) (レス) id: 118c412c42 (このIDを非表示/違反報告)
憂(プロフ) - はじめまして。とっても楽しく拝見させていただきました！これからも更新楽しみにしています！無理なさらずにがんばってください(^^) (2020年10月30日 3時) (レス) id: 1b0f5e1577 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せろ | 作成日時：2020年10月17日 2時
