さーんじゅ ページ30
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成亮side
貴久...本当に大丈夫かな?
藤田高校では実力のある選手だったとはいえそれは2年前の話...
ある事件がきっかけで俺らは水泳から遠ざかることになった
つまり貴久は2年間泳ぐ練習をしていない
いくら優秀な選手だったとはいえ2年間のブランクはでかいぞ...
元々病弱で体力だってあまりない
それに...あの事件の1番の被害者は貴久だ
なんか胸騒ぎがする...スタートは順調にきれたみたいだけどまだ安心できない
慶「あのさ...今回だけだから」
優「え...?」
慶「貴久が優しいから出てくれたものの...あんまり無理させたくないんだ
次勝手にエントリーしたってもう僕らは協力しない」
珍しく厳しい顔をしている慶ちゃん
まぁ...そうだよね...
貴久は優しくて頑張り屋さんで...あの小さなからだでなんでも1人で背負い込もうとする
だから心配なんだ
慶「っ!?...貴久! そんなことして大丈夫なのかよ」
成「あのバカ! それじゃ体がもたないって...」
順調に進んでいた貴久が自由形に突入した
普通にクロールで行くだろうと思われていた貴久がやったのはまさかのドルフィンクロールで...
あんな体力消耗が大きい技で25mも泳ぎ切るなんて思えない
すぐにスピードが落ちてバランスが崩れてしまった...言わんこっちゃない
これ泳ぎきれるのかよ...と不安になりつつ見守っているとクロールで泳ぎ続ける貴久
だけど何かがおかしい...慶ちゃんと顔を見合せて確信した
さっきバランスを崩した時に多分水を飲んじゃったんだろうな
だから息継ぎも苦しそうでどこか危なっかしい泳ぎ方をしてるんだろ?
もういいよ...完走する必要ないから無理しないでくれよ
...なんて俺の願いは貴久に届くことはなかった
無事に1位でゴールした貴久...たけどその後すぐに咳き込みながら貴久の体は水中へと引きずり込まれていった
成「貴久!」
俺は周りの目なんて気にせず水中に身を投げ出す
ほとんど力が入っていない貴久を抱き上げ更衣室に急いで向かった
咳は酷いし呼吸は荒いし...どんだけ無理してたんだよ
成「貴久頑張ったね...もう大丈夫だよ」
貴「っ...けほけほっ...はぁはぁ...うぅ...しげ」
成「大丈夫...俺はここにいるから」
パニックになる前に貴久を落ち着かせられたが寝てしまった
ちょっと待て...まだこの子着替えてもないのに
タイミングよく現われた慶ちゃんに手伝ってもらいながら貴久を着替えさせた
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作者名：春季 | 作成日時：2022年2月20日 14時
