１１０話 ページ31
「帰りましたよ、A」
「おかえりなさい、ディアブロ」
ヴェノムさんが帰って少ししてから、ディアブロが帰ってきた。見た感じでは服も破れてないし、怪我もしてないから大丈夫、だよね……？
私は確かめるようにゆっくりとディアブロに近づき、正面から抱き着いた。
「Aっ……！」
いつものディアブロの匂いがして安心する。ああ、正真正銘私の知ってるディアブロだ。
私の事を助けてくれた、あのかっこいいディアブロだ。
沢山抱きしめて、安心したので離れようとしたのだけれど、ディアブロが抱きしめていて離れられない。
「ディアブロ、もう、離して……？」
「嫌です。こんな可愛いことをしておいて、ただで済むとお思いですか？ もう少し、このままで……」
結局、宴なのに席に出ていないことを心配したシュナさんが玄関のドアをノックするまで、ディアブロの抱擁は続いた。
「実はまだ、一時休戦という状況なんだ」
「そうなのですね……」
宴が終わって数日後、リムル様がお話を聞く機会を設けて下さった。
何が起こったかをあらかた聞いて、今回の敵の強大さにめまいがした。
「Aが天使系の
「私もです」
天使系のスキルを持っているだけで操られるなんて、理不尽極まりない。
私は一応は耐性はあるが、操られる危険性は無い方がいいに決まっている。
敵が私を捕縛しようとしたのなら、全力で抵抗させてもらおう。
リムル様との対話はあっという間に過ぎてしまった。これからの事を知ることが出来、有意義な時間を過ごせた。
それでは、と席を立ち扉へ向かう私の背にかけられた言葉に、硬直してしまった。
「あ、そうだ忘れてた。ディアブロとの子作り、がんばれよ！」
「は、い……っ」
ディアブロ、言ったんだねリムル様に。リムル様が知ってると言うのはそういうことだね？
嬉しそうにリムル様に報告をするディアブロの姿が容易に想像できてしまった。
平静を保ちながら執務室を出れば、ディアブロが待ち構えていた。
「今日はリムル様のお傍にいることが叶わないのです……Aは一緒にいてくれますか？」
「仕方ないなあ」
捨てられた子犬みたいな目をした夫を放っておけるほど私は鬼ではなかった。
魔国連邦の町を手を繋いで歩いて、幸せを噛みしめる。
私は、いつかディアブロとの子供と一緒に町を歩く日を思い描いていた。
完
次回よりエピローグです
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流氷華(プロフ) - 深淵さん» 何度も読んでいただき、また、お褒めの言葉をいただきありがとうございます。あと少しで完結となりますのでもう少しだけお付き合いいただければ幸いです。 (2023年4月17日 18時) (
レス) id: c925b9584d (このIDを非表示/違反報告)
深淵 - 何周も読ませてもらってます…！続き、楽しみです！神作を作ってくれてありがとうございます…！ (2023年4月16日 19時) (レス) @page30 id: 1beab73a6d (このIDを非表示/違反報告)
流氷華(プロフ) - ユノンさん» ありがとうございます！いまやっている原稿が少し厳しい状況でして…お待たせしてしまいすみません。書けそうなタイミングになったら更新いたします。 (2023年4月11日 0時) (レス) id: c925b9584d (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 続きを楽しみにしてます！ (2023年4月10日 21時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
流氷華(プロフ) - 悠希さん» ありがとうございます。ディアブロは妻を危険に晒さないために色々策を巡らせてたりします。悪魔らしいですね (2023年1月5日 16時) (レス) id: c925b9584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流氷華 | 作成日時：2021年6月7日 0時
