１０７話 ページ28
「ハハハハハハ！」
打ち合いの最中、突然高笑いをするフェルドウェイ。
「何……？」
豹変したその様子に、嫌な予感がした。勝利を確信したような眼、ここからどうしようというのか。一体何を企んでいるの……？
「なんだ、そこにあったのか。やはりヴェルダナーヴァ様も、私の勝利を望んでおられるのですね！」
「突然、何？」
クロノアも怪訝な表情をフェルドウェイに向けている。
「フッ、貴様には関係のないことだ。いや、これから仲間になるのだから話してやっても構わないがな？」
「？」
「――我が意に従え、『
フェルドウェイの命令ともとれる発言によって、クロノアが目の前に崩れ落ちた。
「クロノア！！」
「こな、いで……」
駆け寄ろうとする私を、残っている僅かな自我で止めるクロノア。私は、その場でぐっと立ち止まった。クロノアがこう言っているのだから今動くのは危険だと、本能が察知していた。
「私……は、サリエル。ご命令を。ミカエル様」
フェルドウェイの目の前に跪き、忠誠を誓うクロノア。先ほどまでの優位がひっくり返ってしまったのだと気が付くのに時間はかからなかった。
「フッ、それでは貴様はコルヌに協力し、先程の少年を始末するがいい。私はこの女と話がある」
「御意」
クロノアはマサユキさん達を追いかけるように行ってしまった。私はそれを追いかけることも、今この場から逃げることも出来なかった。
フェルドウェイの凍てつくような視線が私に向けられる。
「お前から
「さあ？ 答えてあげる義理はないわ」
敵にそう易々と情報を教えてあげるほど、私は愚かではない。
「そうか、残念だ」
刀を構えると、フェルドウェイの方から跳びこんできた。
「っ……」
何度か刀と剣で打ち合い、均衡状態を保っていた。でも、このままでは埒が明かない――そう思っていたらフェルドウェイが動いた。
「戯れはここまでだ」
「なっ……！」
今までにない力で押し返され、手に持っていた刀を弾かれてしまう。
「死なない、というのも面倒だな。このまま連れていくか」
「嫌……」
嫌だ。このまま捕虜になるなど。世話になったこの国の重荷になるなど。
でも不意を突かれてしまったのも、確か。今この現状を打破する術はない。
「――ディアブロ……」
私は、愛しき夫の名前を口にした。すると、左手の指輪が輝き、私の足元に魔法陣が出現した。
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流氷華(プロフ) - 深淵さん» 何度も読んでいただき、また、お褒めの言葉をいただきありがとうございます。あと少しで完結となりますのでもう少しだけお付き合いいただければ幸いです。 (2023年4月17日 18時) (
レス) id: c925b9584d (このIDを非表示/違反報告)
深淵 - 何周も読ませてもらってます…！続き、楽しみです！神作を作ってくれてありがとうございます…！ (2023年4月16日 19時) (レス) @page30 id: 1beab73a6d (このIDを非表示/違反報告)
流氷華(プロフ) - ユノンさん» ありがとうございます！いまやっている原稿が少し厳しい状況でして…お待たせしてしまいすみません。書けそうなタイミングになったら更新いたします。 (2023年4月11日 0時) (レス) id: c925b9584d (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 続きを楽しみにしてます！ (2023年4月10日 21時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
流氷華(プロフ) - 悠希さん» ありがとうございます。ディアブロは妻を危険に晒さないために色々策を巡らせてたりします。悪魔らしいですね (2023年1月5日 16時) (レス) id: c925b9584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流氷華 | 作成日時：2021年6月7日 0時
