９１話 ページ11
リムルは急いでいた。ディアブロに記憶が無いことをシュナを通じて聞いたからだった。
空間支配を駆使して最短距離で目的地にたどり着く。
迷うことなく目の前の扉を勢いよく開けた。
「大丈夫かA！？」
「は、はい……ある意味大丈夫じゃないです」
「…………は？」
リムルが見たものは、ディアブロの膝の上に座らされ、後ろから抱きしめられているAの姿だった。
「状況の説明を頼む」
困惑した表情のままリムル様に説明を求められる。無理もない、私だってこんな状況見たら困惑する。
「はい。どうやら今のディアブロは記憶を無くしているようなのですが、累積した感情はそのままのようなのです」
「なるほどな……？ それでその状態なのか」
少し話してわかったことだが、ディアブロは記憶を無くしていて私の名前がわからなくても好きという感情はそのままというとんでもない状態になっていた。
全てを忘れて刃を向けられても困るけど、これはこれで困る。
「そうなのです、うう、お恥ずかしい限りです……中々離してくれなくて困ってます。何とかなりませんかリムル様」
「そうは言ってもな……。俺がわかるか？ ディアブロ」
リムル様が私の後ろにいるディアブロに問いかける。
「記憶にはありませんが、敬愛する我が主ということはわかります」
「そうか。それなら、Aを離してやってくれないか？」
「貴方がそうおっしゃるのなら……」
リムル様のおかげで私はディアブロの抱擁から解放された。
それからリムル様はどういう経緯でディアブロがここにいるかなどを説明していた。
「ひとまず、今日は二人とも家に帰ってゆっくりするといい。記憶を取り戻すことは後から考えよう」
リムル様の提案により家に帰ることになった。
「まあ、寝て起きたら案外戻ってるかもしれないぞ」
「だといいですね……」
淡い期待を胸に帰路に着くことにした私達。ディアブロは何も言わず私の後ろを付いてくる。
逃げたりはしないだろうけど、やっぱり少し不安だ。
「ディアブロ、手、繋ごう？」
「っ！ はいっ」
振り向いて手を差し出す。ディアブロは手をそのまま握ろうとして手袋の存在を思い出したのか慌てて手袋を取った。
ディアブロの手を握って歩き出す。いつもは恋人繋ぎなので普通に手を繋ぐのってかなり久々で新鮮だ。
道中は特に変わったこともなく、私達は無事自宅まで辿り着いたのだった。
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流氷華(プロフ) - 深淵さん» 何度も読んでいただき、また、お褒めの言葉をいただきありがとうございます。あと少しで完結となりますのでもう少しだけお付き合いいただければ幸いです。 (2023年4月17日 18時) (
レス) id: c925b9584d (このIDを非表示/違反報告)
深淵 - 何周も読ませてもらってます…！続き、楽しみです！神作を作ってくれてありがとうございます…！ (2023年4月16日 19時) (レス) @page30 id: 1beab73a6d (このIDを非表示/違反報告)
流氷華(プロフ) - ユノンさん» ありがとうございます！いまやっている原稿が少し厳しい状況でして…お待たせしてしまいすみません。書けそうなタイミングになったら更新いたします。 (2023年4月11日 0時) (レス) id: c925b9584d (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 続きを楽しみにしてます！ (2023年4月10日 21時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
流氷華(プロフ) - 悠希さん» ありがとうございます。ディアブロは妻を危険に晒さないために色々策を巡らせてたりします。悪魔らしいですね (2023年1月5日 16時) (レス) id: c925b9584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流氷華 | 作成日時：2021年6月7日 0時
