true love…11 ページ13
.
ザアア……
大きく響く雨音が、体の感覚をマヒさせる。
目の前にあなたがいる。いますぐ抱きしめたい。なのに……
金縛りにあったかのように、動けない。
「マサキ……くん……」
震える声も、届かない。
あなたはただ振り返って、冷たい目で私を見るだけ。
「や……行かないで……」
やっぱり、そうだったんだね。
君は、私をからかって、期待させて……
そして、ひとりぼっちにしていくんだね。
「馬鹿だなあ……」
今更、気づくなんて。
私はこんなにも、マサキくんのこと……
「好き」
涙がこぼれる。
いつ気づいたって、叶うわけなかったけれど。
もう少し早く気づいていれば、こんな悲しい思いしなかった。
「……好き……っ好き……！」
届くわけ、ないよ。
.
「……っ！」
ザアア……
寒い。雨音が、うるさい。
いまのは……夢？
ううん、違う。全部事実だ。
私がマサキくんのことを好きになってしまったことも、この想いが届くはずないことも。
……マサキくんが、私を。
「わかんないよ……」
どれが本当のマサキくんなのか。
夢にでてきたマサキくん？
私がいままで見てきた――――
すこしイジワルだけど、それは照れ隠しで。
本当はやさしい。
そんなマサキくんを、好きになった。
不器用だけど、人を思いやることのできるマサキくんが。
でも、それが本当のマサキくんじゃないなら――――
私は、また間違えてしまったんだ。
窓を見る。強い雨が打ち付けていて、割れてしまいそうなくらいだ。
もっと近づいて、いつもと違う景色を見た。
「何、あれ……」
ふらふらと歩く人影がひとつ。
こんな雨なのに、傘もささないで……
その人影が、なぜかマサキくんに見えて……
馬鹿だなって、自分でも思うけど。
ぱたり、と倒れてしまったのを見て、私は玄関に向かって走り出した。
「マサキくんっ……！」
名前まで口にして。
勢いよく扉を開けると……
「ごめ……A……遅く……なって……」
「マサキくん……っ！」
無理に笑おうとする、君がいた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 27人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恋星(プロフ) - ひいいいキュンキュンしました！！！とっても面白かったです（ ; ; ） (2017年1月5日 19時) (
レス) id: 8ed0130e52 (このIDを非表示/違反報告)
にょあ(プロフ) - 真夏日さん» アドバイスありがとうございます!! もっとレベルアップするために頑張ります！ (2015年11月3日 14時) (レス) id: 7ebc89cc0c (このIDを非表示/違反報告)
真夏日 - なんか短縮しすぎじゃないですか？ 付き合ってからのその後の日常を描くともっといいシリーズになると思います！ 例えばトラブル起こしてみたり…。 でも構成はとても良いですよ！ ・・・・・ これはあくまでもアドバイスですよ？ 応援してます☆ (2015年4月5日 23時) (レス) id: 643386df29 (このIDを非表示/違反報告)
にょあ(プロフ) - 和樹(元ゆずらんぷ)@アキちゃん大大大好き！！！さん» またまたコメントありがとうございます＾＾褒められるとテンション上がります（≧▽≦）嬉しいです！ (2014年5月6日 13時) (レス) id: 1ca1660501 (このIDを非表示/違反報告)
和樹(元ゆずらんぷ)@アキちゃん大大大好き！！！(プロフ) - にょあさんの作品素晴らしいです！蘭ちゃんのも見に行きます！マサニャンありがとうです！ (2014年5月6日 10時) (レス) id: 228f6e24af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にょあ | 作成日時：2014年4月27日 22時
