twelve ページ12
次の日は、腫れた目が隠せなくって。
仕事を休んだ。
和也という存在が消えて、
心に穴が空いたはずなのに生活できてる自分は、
大人なんだと感じるだけ。
「......もしもし。」
「はい、もしもし。佐野ですが。」
「あの、山城です。」
「佐野さん！今日はお休みされたと伺って心配してたんです。」
明るい声が響いてく。
「この後、お食事、いかがですか？」
初めて、人を誘ってみる。
「あー、すいません。ちょっと、予定があって。」
「そうなんですか。何かごめんなさい(笑)」
「僕の方こそ、折角のお誘いなのに......。」
「いえ、じゃあまた会社で。」
「はい。また。」
誘ったのに、失敗した............。
まあ、予定があるなら仕方ないか。
今日は、何処かで食べよう。
去年買ったお気に入りのコートを羽織ろうとして、やめる。
これは......
連想させる...。
こんな時にも、いくつもの欠片が浮かび上がってくるのは何故。
冬は、ツアーや番組で特に忙しくなる時期だから、
会えないことも多かった。
そんなときにわざわざ手渡しで渡された、
黄色いコート。
『Aに似合うだろうと思ったから。』
そっぽを向きながら恥じらう乙女のようにして、くれたクリスマスプレゼント。
自分の色を選んだのは、意味があるのに。
『派手な色に、したんだ。』
何て可愛いげのない言葉で返して。
でも、笑い合えてた。
皮肉にもその空間が、プレゼントが嬉しかった。
戻れないから、思い出。
思い出は、単なる記憶でしかない。
そんなの分かりきってたことなのに。
......しょうがなく、別のコートを着て家を出ることにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 399人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
河衣榛(プロフ) - めいりんさん» コメありがとうございます！これからも頭を働かせて頑張っていきます！応援よろしくお願いします！！ (2015年1月25日 1時) (
レス) id: 28e4d98abc (このIDを非表示/違反報告)
めいりん(プロフ) - 初コメです！！とっても面白かったです！！一気に読んじゃいました！！ほかのお話も楽しく読ませていただきます！！これからも頑張ってください♪ (2015年1月23日 18時) (レス) id: f391d12e83 (このIDを非表示/違反報告)
あお - これからも頑張って〜！ (2015年1月15日 23時) (レス) id: fc70051463 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：河衣榛 | 作成日時：2015年1月15日 2時
