◆ ページ39
重なった唇の温もりだけを感じて。
小さく漏れたお互いの息が、離れた唇から白い霧になって夜に溶けていく。
和「わかったら、もういちいち周りの目気にするのやめなさいよ」
「…うん」
和「よろしい」
微笑んだカズが、私の頭をくしゃって撫でる。
「…でも、うそつき」
和「はい？」
「私以外なんにもいらないなんて嘘」
和「嘘じゃありません」
「嘘。…雅紀がいる」
和「あれはただの金づるです」
「(笑)…もう」
また「うそつき」って言いかけた唇を遮るように塞がれて、
「さっきから嘘嘘うるさいわ」って笑うカズの腕が、また私を抱き締める。
でもやっぱり、嘘でしょう？
私だけじゃなくて、雅紀だけじゃなくて。
カズにはもう、大切な人がいっぱいいるでしょう？
雅紀しかいなかったカズと、先生しかいなかった私の人生に。
いつの間にか、片手じゃ数えきれいないくらい。
大切な人が、大事な人が、増えたね。
胸が締め付けられるような幸せが、身体の奥から溢れて来て。
降り続く雪の中で、カズの髪に積もる雪をそっと払う。
「ん…」ってまた唇が近付いて、触れそうになった瞬間、
カズのコートのポケットが、ぶーんって震えた。
和「……嫌な予感しかしない」
呟いたカズが、私を腕の中に入れたまま、スマホを取り出す。
まーくん雪だねーー!!白いねーー!!
和「……」
「(笑)」
和「金づるじゃなくて、ただの幼稚園児だった」
うんざり声のカズが、スマホをポケットに仕舞おうとしたら、
ぽんって、吹き出しが増えた。
まーくん今1人?どこにいる?寒くない?迎えに行こうか?
心配そうな声が聞こえるような、？いっぱいのメッセージ。
カズと顔を見合わせて、2人同時にふふって笑う。
2人。金座。寒い。大丈夫
ささっと打って、ため息をつきながらスマホを仕舞うカズを見て、思わず笑みが零れた。
和「…なによ」
「やっぱりうそつき」
和「うーるさいよ」
くすくす笑う私の肩を、ぐいっと抱き寄せて。
静かに雪が降り続く、薄灰色の空を見上げて。
和「まーでも。俺の人生くれてやるって思ったのは……美雪が2人目かな」
小さく呟いた腕の中で、私は。
真っ白な雪を肩に積もらせて。
くふふって笑う、カズの声を聞いた。
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あげは(プロフ) - さくらいみくじゅんさん、コメントありがとうございます！そして、お返事遅くなってごめんなさい(T△T) お返事より前に、リクエストにお応えしてしまいました(笑)。第2章の”Time to begin”、楽しんでいただけますように(*´ー｀*)☆ (2017年9月21日 0時) (
レス) id: 02b4f5b3a5 (このIDを非表示/違反報告)
さくらいみくじゅん - あげはさんの作品もう大好きです！帝王すぎる櫻井先生最高です！！あと、翔潤クラスタ的に翔潤の絡みが多いので毎回死んでます。ありがとうございます←笑是非とも！櫻井先生と松本先生の出会いからの今の仲良くなる関係についての話を書いてほしいです！ (2017年9月4日 20時) (レス) id: 1bc599c89a (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - arinoさん» arinoさん、嬉しいコメントをありがとうございます(T△T) 私も、本編でお伝えしきれなかった諸々を知っていただけてとても楽しく書いてます。カズのプロポーズ、私もきゃーきゃー言いながら書いたので(笑)、きゅんきゅんしていただけてとっても嬉しいです(*´ー｀*) (2017年8月14日 22時) (レス) id: bcec075e42 (このIDを非表示/違反報告)
arino(プロフ) - あげはさん…！ほんとーに、 ここのみんな素敵すぎて大好きです！この、裏側シリーズ最高！本編がさらに深くなって、また読み直したくなりますね！私、ほんと、ここのカズ君大好きなんですが、ほんとキュンキュンでどうしよう。いつもありがとうございます！ (2017年8月12日 1時) (レス) id: 0185ce5d78 (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - 黒衣さん» おぅ!! zen-raで待っておれ!!! shita-giはいらぬっ!!!←いや、だからなにこのテンション(爆笑)。黒衣さんくそどS好きそうだもんなぁ…最後のあの一言は、ズッキュン来ますよね。でももうご承知の通り、あっちにいっても先生は抱いてくれないんだぜっ！(ある意味どS) (2017年8月2日 15時) (レス) id: bcec075e42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あげは
| 作成日時：2016年8月11日 15時
